1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03807042
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 真 東京大学, 医学部・(病), 助手 (00183236)
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Keywords | 肝癌 / 血管新生 |
Research Abstract |
肝癌の血管新生にVEGFが関与しているか否かをまず検討した。肝癌組織、非癌部肝組織、肝癌細胞株においてノ-ザンブロッドを行なったところ、VEGFの発現を認めた。ヒトVEGFに次いで、マウスのVEGFもPCR法を用いてCーDNAをクロ-ン化した。VEGFの肝での生理的作用をみる目的で、SAPプロモ-タ-にマウスVEGFをつなげ、マウスの肝でVEGFが過剰発現するようなトランスジェニックマウスの作製を試みた。マウスのVEGF遺伝子が入ったマウスを作ることに成功した。現在トランスジェニックマウスの肝に何らかの変化(例えば肝腫瘍が肝障害など)が生じるかを解析中である。又、VEGFに対する抗体を作製し、肝組織の染色体を行ない、肝のどの部分で産生するかを検討する予定である。VEGFが肝癌の血管新生に本当に関与しているか否かを、今後検討する予定である。 一方、血管新生阻止因子が肝癌の新しい治療法となり得るかを現在検討中である。我々はウッドチャック肝癌のモデルを保有しているが、血管新生阻止因子として開発されたアンギオインヒビンが肝癌の治療に効果があるかを検討中である。ウッドチャック肝炎ウイルスキャリヤ-の一頭に肝癌が生じ、右葉に径3cm、左葉に約3cm大の腫瘍が発症した。右葉の腫瘍にコントロ-ルの薬剤を、左葉の腫瘍にアンギオインヒビンを、エコ-ガイド下に周一回、局注を続けている。アンギオインヒビンを局注した腫瘍は増殖が止まり、一部内部が壊死におちいった。今後も、アンギオインヒビンが肝癌の新しい治療薬となるかを検討していく予定である。
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