1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03807042
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 真 東京大学, 医学部(病), 助手 (00183236)
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Keywords | 肝癌 / 血管新生 |
Research Abstract |
肝癌の血管新生にVEGFが関与しているかを検討した。ノーザンブロット法および免疫染色法により検討したところ、肝癌組織が肝癌細胞株においてVEGFの強い発現をみとめ、肝癌血管新生へのVEGFの関与が示唆された。又、VEGFのレセプター(flt)の発現は、特殊染色法による検討では、肝癌部での発現はなく、非癌部肝組織での発現をみとめた。肝癌部でVEGFが強く産生され、非癌部でレセプターが発現して、血管新生が誘導され、肝癌が増殖していくものと考えらる。VEGFが肝で強く発現するようなトランスジェニックマウスを作成したところ、一部で腹水を発症するマウスが得られた。現在解析中である。 一方、血管新生を抑制するアンギオインヒビンという物質が、肝癌の新しい治療薬となりうるかを検討した。ウッドチャック肝癌に局所投与を行なったところ、血管新生を著明に抑制して肝癌は縮少した。コントロール実験では薬剤の毒性はみとめられなかった。又、全身投与による検討も行なった。1cmの腫瘍の生じたウッドチャックに、アンギオインヒビン30mgを週に1〜2回筋注したところ、6ヶ月間たっても、腫瘍の大きさは1.5cm程度におさえられており、全身投与も有効なことが確認された。又、アンギオインヒビンの油性製剤を開発し、肝動脈カテーテルをそう入し、肝動脈塞栓術(TAE)を行なって、治療効果があるか否かを現在検討中である。 以上、肝癌の血管新生へのVEGFの関与が強く示唆され、又、血管新生抑制物質であるアンギオインヒビンが、肝癌の新しい治療薬となりうることが考えられた。
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[Publications] Junji SHIGA, Shin OHNISHI et al.: "Development and Growth Pattern of Small Hepatocellular Carcinomas in Woodchucks" Exp.Anim.40. 545-548 (1991)
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[Publications] Toshiaki GUNJI,Shin OHNISHI et al.: "Treatment of Hepatocellular Carcinoma associated with advanced cirrhosis by transcatheter arterial chemoembolization using antologous blood clot" Hepatology. 15. 252-257 (1992)
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[Publications] Fuyo Yoshimi,Shin OHNISHI et al.: "Comparison of Hepatectomy and Transcatheter arterial chemoembolization for the treatment of Hepatocellular Carcinoma" Hepatology. 16. 702-706 (1992)