1991 Fiscal Year Annual Research Report
多発性硬化症における自己反応性T cellクロ-ンの確立に関する研究
Project/Area Number |
03807050
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
太田 宏平 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00152132)
|
Keywords | ミリエン塩基性タンパク / 多発性硬化症 / アレルギ-性実験性脳脊髄炎 / 抗原特異部位 |
Research Abstract |
日本人のミエリン塩基性タンパクの免疫特異部位における検討 ミエリン塩基性タンパク(Myelin Basic Protein,以下MBP)は強い脳炎惹起性を有するが、その抗原特異部位は、例えば、アレルギ-性実験性脳脊髄炎では動物の種、系統では異なり、その発症の脆弱性は遺伝的因子に規定されている。一方、ヒトの場合はMBPの抗原特異部位の検討はまだ不充分であり、今回、私達は日本人健常者8例を対象としてMBP反応性T cell lineを作製し、本邦におけるMBP反応性T cell lineの出現頻度とMBPの抗原特異部位について検索し、これまで主に欧米人で報告されたMBPの免疫特異部位と比較検討した。その結果、培養した総数752のT cell lineのうちMBP反応性T cell lineを34line樹立した。対象別のMBP反応性T cell lineの出現頻度は0から9.7%で、その平均は4.1%であった。MBPの抗原特異部位の検索では、MBP peptide 84ー102に対し樹立したMBP lineの34.8%、MBP peptide143ー168には30.4%と高率に反応を示した。また個々の対象でみてもMBP peptide84ー102に対するlineは8例中5例で、MBP peptide143ー168に対するlineは8例中4例と多数の症例でT cell lineが認められた。以上の事からこの2つの部位がMBPの抗原特異部位と考えられ欧米人のそれと変わりがなかった。このことは、アレルギ-性実験性脳脊髄炎に用いられる動物とは異なり、ヒトのMBPの抗原特異部は人種を越えて共通である可能性があると考えられた。今後、多発性硬化症を対象としMBPの抗原特異部位について検討する予定である。
|