1991 Fiscal Year Annual Research Report
レ-ザ-血管形成時の血栓形成と再狭窄の機序に関する研究
Project/Area Number |
03807052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東丸 貴信 東京大学, 医学部・(病), 助手 (60180163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊岡 照彦 東京大学, 医学部・(病), 教授 (00146151)
内田 康美 東京大学, 医学部・(病), 助教授 (60010419)
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Keywords | レ-ザ-血管形成術 / バル-ン形成術 / 閉塞性動脈硬化症 / 血管内視鏡 |
Research Abstract |
高コレストロ-ル食と血管内皮障害により家兎の総腸骨動脈に閉塞性動脈硬化症を作製し、この血管閉塞部を一方を経度経管的冠血管形成術用の2.0mm径バル-ンカテ-テルで、他方を1.7mm径の先端加熱型のレ-ザ-ブロ-ベで血管形成をはかった。血管造影により8羽、全血管で再開通が得られ、術前80%に近い狭窄部位が、バル-ンでは完全に開大し、レ-ザ-でも25%以下の狭窄度に開大された。しかし、1時間後にはバル-ン側は77%の狭窄度を呈し、再閉塞がほとんどの症例に認められた。血管内視鏡では、レ-ザ-形成術は内腔は平滑で高度の内皮剥離や血栓はみとめられなかったが、バル-ン形成部では内皮から深部に到る剥離や血栓の付着がみられた。1時間後には、レ-ザ-形成部では、壁在性血栓がみられたものが5例あったが、閉塞性のものはなく、一方、バル-ン形成部では閉塞性血栓がみとめられ平均91%の血栓性閉塞が確認された。組織学的検索ではレ-ザ-形成部は内腔か平滑で熱傷害も軽度に止まり(プロ-ブ温度100〜140度)、解離もみられなかったが、バル-ン形成部では血管中膜までの損傷、解離と血栓形成が認められた。また1ケ月間経過を追った例(3例)では、レ-ザ-形成部の再狭窄度は25%以下にとどまり、一方バル-ン部は全例50%以上の狭窄を呈していた。以上より、血栓形成性と中膜組織までの損傷が再狭窄に関係すると考えられ、レ-ザ-形成術は血栓閉塞と再狭窄予防に有効である事が示された。 臨床例において大腿動脈の完全閉塞性動脈硬化症例30例でレ-ザ-血管形成術を行い95%の成功率をあげている。輸血や手術を要した重大な合併症はみられず、2例に軽度の血管穿孔が生じた程度である。急性の再閉塞は一例のみで、1年近い経過追跡で、臨床上の再狭窄はわずか5%にとどまり、末梢動脈疾患のレ-ザ-治療は有望といえよう。
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Research Products
(1 results)