1991 Fiscal Year Annual Research Report
先天性心疾患に伴った肺高血圧症における液性因子と血行動態との関係についてーエンドセリンおよびプロスタノイドを中心にー
Project/Area Number |
03807061
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
原田 研介 日本大学, 医学部・小児科, 助教授 (40208674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能登 信孝 日本大学, 医学部. 小児科, 助手
湊 道嘉 日本大学, 医学部. 小児科, 助手 (00211590)
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Keywords | エンドセリン / 肺高血圧症 |
Research Abstract |
先天性心疾患に伴った肺高血圧症15例及び原発性肺高血圧症2例(年齢6ヵ月〜10歳)に血中エンドセリン(ETー1)の測定を行った。また同時に川崎病急性期例8例(年齢10ヵ月〜5歳)及び冠動脈瘤を有する川崎病8例(年齢2〜11歳)をコントロ-ルして検討した。 ETー1の採血は安静臥床時に肘静脈よりの採血を原則とし、心臓カテ-テル検査時の採血では肺動脈及び大腿動脈より採血した。ETー1(pg/ml)の測定はRIA法にて計測した。 肺高血圧症例での肺動脈収縮期圧及び平均圧の平均は夫々84.7mmHg,60.5mnHgで肺血管低抗の平均は12.1Um^2であった。ETー1の大腿動脈(A)及び肺動脈(V)の平均は夫々1.62,1.38でありA/V比では1.26であった。しかしこれらETー1濃度と肺動脈圧及び肺血管低抗との間には有意な関係は見出せず,ETー1濃度はコントロ-ル例と差が無かったが,A/V比は逆転していた。また肺血管閉基性病変の2例でA/V比は高値(2.50,2.07)であり特徴的であった。このことから肺高血圧症の原疾患による差が測定結果に結びついたものと推測され、疾患別の検討が必要と考えられた。 コントロ-ルとして測定した川崎病急性期及び冠動脈瘤例での検討では,有熱時及び解熱時の比較でETー1は有熱時に有意に高値(3.29±1.44VS2.03±0.62)をとった。特に心筋炎合併例(4.79),左冠動脈拡大例(4.40)で異常高値をとり特徴的であった。川崎病遠隔期後遺症例で高値をとった例はなかった。 これら肺高血圧症例の結界からETー1は末梢肺循環で産生される可能性が高く,またその産生には原疾患による差が関与することが示唆され更に検討を進めている。また川崎病例の検討で,ETー1は血管炎を評価する総括的な指標となる可能性が示唆された。
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