1992 Fiscal Year Annual Research Report
脳幹てんかん焦点モデルを用いた発作全般化機序の基礎的研究
Project/Area Number |
03807068
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Research Institution | DEPARTMENT OF NEUROSURGERY ASAHIKAWA MEDICAL COLLEGE, ASAHIKAWA 078 |
Principal Investigator |
田中 達也 旭川医科大学, 医学部, 講師 (20108715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米増 祐吉 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30038666)
藤田 力 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90221548)
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Keywords | 脳幹網様体 / カイニン酸 / 中心脳性てんかん / 二次性全般化発作 / 視床 / 全般てんかん / Autoradiography / 14C-deoxyglucose |
Research Abstract |
我々は、慢性ネコの脳幹網様体にカイニン酸を微量注入して、脳幹内にてんかん焦点を作成し、その発作は中心脳性てんかんのモデルとなりうること、さらに脳幹網様体は焦点発作の二次性全般化に密接に関与していることを明らかにした。本年度は、実験1では、ラットに定位脳手術を行ない、脳幹網様体(MRF)にカニューラを刺入し固定した。深部双極電極を、MRFと背側海馬に設置した。術後7日目に、無麻酔無拘束の状態で、0.5μgのカイニン酸を注入し、慢性ネコと同様に、10分以内に全般強直てんかん発作の重積状態が誘発され、約24時間持続した。実験2では、3匹のラットの脳幹網様体に0.5μgのカイニン酸を注入し脳幹網様体てんかん焦点を作成し、約10分間隔で発作を繰り返す重積状態となったが、^<14>C-deoxyglucoseを用いたautoradiographyを行ない、Sham群(3匹)との間で局所脳糖代謝の変化を観察した。カイニン酸群では、すべてのラットに強直性発作を中心とした全身痙攣発作が誘発されたので、この時期にAutoradiogramを検討した。発作時には、局所脳糖代謝は、注入部MRFのみでなく両側視床および感覚運動領で著明に亢進していることより、MRFに生じた発作は、脳幹網様体から速やかに視床に伝播し、引き続き両側大脳皮質に伝播し全般的なてんかん性の興奮を誘発することが確認された。得られた結果よりMRFは、全般強直てんかん発作および発作の全般化に重要な働きを持つことが明らかになった。しかしながら、^<14>C-deoxyglucoseは高価であり、本年度の補助金では、統計学的な差異を明らかにするだけの核種の量を購入できなかったのが残念である。さらに、橋網様体にカイニン酸誘発によるてんかん焦点を作成し、脳幹網様体焦点との間で発作の発展の相違を検討する予定であったが、時間的及び資金的余裕がなく今後の課題として残された。
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[Publications] TANAKA Tatsuya: "Exprimental complex nartial seizures induced by injection of kainic acid into limbic structures." Progress in Neurobiology. 38. 317-334 (1992)
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[Publications] 田中 達也: "抗てんかん薬の辺緑系発作重積に対する効果と局所脳血流量への影響について" 脳と神経. 44. 234-240 (1992)
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[Publications] ARAKI Takehisa: "Kainic acid-induced thalamic seizure in cat a possible model of petit mal seizure." Epilepsy Resarch. 13. 223-229 (1992)