1991 Fiscal Year Annual Research Report
上皮小体の細胞増殖とホルモン生合成との関連についての検討
Project/Area Number |
03807077
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 康幸 名古屋大学, 医学部, 助手 (70196278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟橋 啓臣 名古屋大学, 医学部, 講師 (50135357)
高木 弘 名古屋大学, 医学部, 教授 (70154755)
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Keywords | 上皮小体 / PTH / 細胞増殖 / 上皮小体機能亢進症 / 血清カルシウム / ビタミンD / PTHmRNA |
Research Abstract |
1991年度報告書 臨床検討では、上皮小体機能亢進症症例の術前・中・後の上皮小体ホルモン(PTH)の変動について検討した。原発性上皮小体機能亢進症症例では、血中PTH値は腺腫摘出後、約5分の半減期で減衰した後、早期に上昇傾向を認め第2〜3病日には正常範囲内に復することを確認した。このことは、腺腫による他腺に対するPTH分泌抑制は、術後早期に解除されることを示唆する。本結果については、1991年日本内分泌外科学会にて報告した。また、甲状腺癌術後の患者の上皮小体自家移植腺の機能の検討では、移植腺生着の時期および移植腺生着に及ぼすビタミンDの影響について検討した。術後の一過性の低カルシウム血症に対して、我々はビタミンD剤を投与する。一般的には、ビタミンDにはPTH分泌抑制作用が認められるが、甲状腺癌術後の患者は血中ビタミンD濃度の低下が認められ、術後のビタミンD補充が有効なことが示唆された。本結果については、1992年日本内分泌外科学会にて報告予定である。 実験検討では、腎性上皮小体機能亢進症患者の手術時摘出組織を用い組織学的に結節性とびまん性に分類される過形成組織におけるPTHmRNAの発現について検討した。両者は明らかに増殖性の相違がみられるが、PTH合成の初期段階である。PTHmRNAの細胞あたりの発現には有意な差は認められず細胞あたりのPTH合成能には変化がないことが示唆された。本結果については、論文がSurgery Todayに受理された。また、ヌ-ドマウスへのヒト上皮小体組織の移植実験を現在進めている。手術時摘出した腺腫および生検をおこなった他腺を用い、ヌ-ドマウスの大腿筋肉内に移植腺量を変化させて移植した。血中PTH濃度は、移植腺量に相関して上昇することを確認した。今後、腺腫、過形成、および生検で採取された腺を用い腺の性質による変動の相違について検討する予定である。
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