1992 Fiscal Year Annual Research Report
肝硬変におけるGut‐Liver‐Lung axisによる肺血管病変の実験的研究
Project/Area Number |
03807080
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
市川 徹 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (70142338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 勝也 広島大学, 医学部附属病院, 医員
児玉 節 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (20161945)
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Keywords | 肝硬変 / 肺高血圧症 / 四塩化炭素 / Dimethylnitrosamine / 門脈下大静脈シャント |
Research Abstract |
Dimethylnitrosamine肝障害ラットを腹水貯留を認める高度肝障害群(E1群、n=5)、腹水貯留を認めない中等度肝障害群(E2群、n=17)およびコントロール群(F群、n=11)において検討を行った。 1.右室収縮期圧(RVSP):E1群29.5±2.7torr、E2群22.6±1.1、F群13.7±1.7で各群間に有意差を認め、肝障害の進行と共にRVSPは上昇した。 2.門脈下大静脈シャント率(S率):E1群47.9±14.1%、E2群4.2±2.6、F群0.04±0.01で、E1群はE2群、F群に比較して有意な高値を認め、肝障害が中等度ではS率は変化しないが、高度になるとS率は上昇した。 3.肺の病理学的検討:各々のラットにつき10個の肺小動脈の変化をHeath‐Edwards分類に基づいて検討すると、E1群は50個中0度15個、1度19個、2度7個、3度9個であった。E2群は140個中0度73個、1度48個、2度27個、3度12個であった。F群では90個中0度62個、1度20個、2度7個、3度1個であった。各群を比較すると、E1群、E2群はF群に比べて有意な肺小動脈の肥厚を認め、E1群はE2群に比べて有意差はないものの肥厚が高度になる傾向を認めた。 4.肝機能検査:E1群のT.Bil、GOT、T.Pは、E2群、F群に比較して有意な高値を認めた。E1群、E2群のHepaplastinは、F群に比較して有意な低値を認めた。RVSPとの相関に関して検討すると、RVSPはT.Bil、GOTと有意な正の相関を、Hepaplastinと有意な負の相関を認め、血液検査的にも肝障害が進行するとRVSPは上昇すると考えられた。 5.右室血中Endotoxin値(Et):E1群4.4±1.5pg/ml、E2群4.9±1.2pg/ml、F群5.3±0.8pg/mlで、各群間に有意差は認めなかった。 以上より、Dimerthylnitrasanmine投与による肝障害モデルにおいても、肺高血圧類似の病変が惹起された。又その程度は肝障害の進行に関連しており、肝障害が肺高血圧症惹起に直接関与していると考えられた。
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