1991 Fiscal Year Annual Research Report
PCR法を用いた肺癌遺伝子診断の基礎検討とその臨床応用
Project/Area Number |
03807088
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
中村 治彦 東京医科大学, 医学部, 講師 (80183523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 信太郎 東京大学, 理学部, 助教授 (20143357)
高橋 秀暢 東京医科大学, 医学部, 助手 (20201600)
小中 千守 東京医科大学, 医学部, 助教授 (70147180)
加藤 治文 東京医科大学, 医学部, 教授 (20074768)
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Keywords | 肺癌 / 遺伝子診断 / PCR / SSCP |
Research Abstract |
肺癌を含む各臓器癌において比較的普遍性をもって変異が認められている癌抑制遺伝子p53に着目した。p53遺伝子領域のうち、遺伝子産物の機能上、特に重要な部分をコ-ドすると推測されているエクソン5,6,7の塩基配列異常を検出するアッセイ系の樹立を本年度の目標とした。 Gene Data Baseを利用してp53遺伝子の塩基配列を検索し,エクソン5〜6,6〜7をはさみこみ特異的なPCR産物を得られるような2組のプライマ-を作製し,理想的なPCRの条件を設定した。 摘出直後に凍結保存したヒト肺癌原発巣からDNAを抽出し,これを検体とし,健常人末梢血有核細胞から抽出したDNAを正常コントロ-ルとした。 上記遺伝子領域をPCR法で増巾した後にSSCP(Single Strand Comformation Polymorphism)法を行い塩基配列異常の有無を検索した。非小細胞肺癌20例の検索では上記領域で30%の異常を検出した。 以上の如く本年度は遺伝子の塩基配列異常を検出するPCRーSSCP法の実験手技上の問題点を克服し,アッセイ系をほぼ完成することができたと考えている。 今後,肺癌の遺伝子診断を考えた時に問題点が2つ考えられる。1点は,現在既知の遺伝子のうち肺癌に関与するものでは、小細胞癌を除いて陽性率があまり高くないことで、2点目は診断材料とする臨床検体には多くの正常細胞の混入があるので癌細胞に欠失している遺伝子をマ-カ-とするよりは、癌細胞で活性化している遺伝子を検出する方が容易ということである。次年度からはこのことを念頭に置いて臨床応用可能なアッセイ系を工夫したい。
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