1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03807091
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高安 正和 名古屋大学, 医学部, 助手 (60216794)
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Keywords | 脳微小循環 / 静脈 / 血管平滑筋 |
Research Abstract |
脳の静脈系は容量血管とも言われ全脳血液量の3分の2余りを有することから、頭蓋内圧調節にも重要な役割をはたしていると考えられる。このうちでも血管径100μm以下の脳内微小静脈は容量血管という点から特に重要であるが、今までほとんど研究されていなかった。本研究の目的は脳微小静脈潅流法を開発し、各種薬剤に対する反応を検討することにより、脳微小静脈の脳圧・脳循環調節への関与についても考察を加えることにある。本年度は微小血管潅流法の確立を目標に研究を進めた。まず初めに、カニュレ-ション用のガラスピペットの作製を行なった。スピンドルを有するマイクロフォ-ジを使用して、目的とする潅流用ピペットと固定用ピペットを作製した。続いて、ピペットホルダ-、温度調節可能な組織槽を作製した。血管潅流はまず比較的要易に得られるラットの脳内細動脈を使用した。回路にわずかな漏れがあっても圧が維持できず緊張が出現せず、反応性も得られないためこの問題を克服した。次に、顕微鏡ビデオシステムにコンピュ-タ-を組み合わせ、血管内径を自動計測する試みを行なった。血管内面は内膜が入り込み、外膜が厚い場合、血管内腔を透見するのは困難であった。精力的に試みたが最終的には現時点で血管内腔の自動計測は無理と判断し手動計測で行なうこととした。微小動脈の潅流法が確立した後、ラットの脳実質内微小静脈の潅流を行なった。ラットの脳切片を切り出し脳軟膜を剥離すると軟膜動静脈と同時に実質内の微小動静脈が剥離できる。このうち適当な微小静脈を顕微鏡下に切り出し、ガラスピペットでカニュレ-ションした。血管内圧を5mmHgに設定し温度を37℃へ上昇させると血管径は安定したここで潅流液のpHを7.3から6.8、7.3から7.6へと変化させると5〜10%の拡張・収縮が得られた。来年度は各種薬剤の反応性を検討し脳微小静脈の脳圧・脳循環に対する関与を検討する予定である。
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