1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03807092
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川本 恵一 広島大学, 医学部, 助手 (10192006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 一彦 広島大学, 医学部, 助手 (30243554)
栗栖 薫 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (70201473)
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Keywords | 髄膜腫 / 抗プロゲステロン剤 / プロゲステロン受容体 / 抗腫瘍効果 / 培養 / MTT assay / ヌード・マウス |
Research Abstract |
ヒト髄膜腫(計13症例)を初代培養し、抗プロゲステロン剤による抗腫瘍効果と腫瘍細胞のプロゲステロン受容体発現との相関性について検討した。抗腫瘍効果の程度はプロゲステロン受容体の有無と直接的な相関性は得られなかった。一方、受容体陰性のグリオーマ細胞株では、抗プロゲステロン剤で抗腫瘍効果が得られなかったのに対し、受容体陽性下垂体腫瘍株では、明らかな抗腫瘍効果が認められた。以上の結果から、抗プロゲステロン剤によるヒト髄膜腫の抗腫瘍効果は、一部には受容体を介する作用の他に、他のステロイド受容体もしくは受容体を全く介さない機序で抗腫瘍効果を発揮する可能性が考えられる。 以上はin vitro系での検討であるが、今年度はさらにin vivo系での検討も加えた。ヒト髄膜腫細胞をコラーゲンゲルに包埋し、その固まりをヌードマウス腎皮膜下に移植し、抗プロゲステロン剤による抗腫瘍効果を現討した。その結果、プロゲステロン受容体陽性例、陰性例とも著明な抗腫瘍効果が得られた。その効果の程度に受容体陽性例と陰性例の間に明らかな差は認められなかった。また、抗プロゲステロン投与群の腫瘍組織に明らかな壊死像が見られなかったことより、in vico系での抗プロゲステロン剤の抗腫瘍効果は細胞増植抑制効果の結果と考えられた。 以上のin vitro、in vivo系でのヒト髄膜腫細胞に対する抗プロゲステロン剤の抗腫瘍効果は必ずしもプロゲステロン受容体を介する作用ばかりでなく、他の機序も考慮に入れる必要性があると結論づけた。なお来年度は以上の結果をさらに補充する研究を行なうとともに、雑誌論文への投稿準備を進める予定である。
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Research Products
(1 results)