1992 Fiscal Year Annual Research Report
各種卵巣腫瘍における組織型及び癌化に伴う糖脂質代謝異常に関する研究
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03807109
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Research Institution | Keio University School of Medicine |
Principal Investigator |
木口 一成 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60101911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高松 潔 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30206875)
亀井 一彦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40224688)
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Keywords | ムチン性卵巣癌 / モノクローナル抗体MRG-1 / ゴルジ体 / 小胞体 / 子宮頚部扁平上皮癌 / タイプIIIA型糖脂質 |
Research Abstract |
*研究による新たな知見・成果 我々は、産婦人科領域の癌の中で診断が比較的難しく診断のための腫瘍マーカーの発見が重要視されている卵巣癌について癌関連糖鎖変化を検出すべく研究を進めてきたが、その研究途上で、モノクローナル抗体の反応性に特徴のある糖脂質を見つけた。 1.ヒトムチン性卵巣癌細胞に対するモノクローナル抗体MRG-1 ヒトムチン性卵巣癌細胞RMUG-Lを抗原として作成したモノクローナル抗体MRG-1は抗原細胞と極めて強く反応するが、細胞の反応部位は細胞膜ではなく、核近傍の構造であるゴルジ体、あるいは小胞体であった。同じ様な染色パターンはヒト子宮頚部扁平上皮癌でも観察されたが、正常子宮頚部では扁平上皮細胞の細胞間隙が染色されることから、癌化に伴い、複合糖鎖の分泌不全が起こっていることが予想された。 2.モノクローナル抗体MRG-1と反応する糖脂質の構造 ムチン性卵巣癌細胞から糖脂質を単離し、作成したモノクローナル抗体MRG-1を作用させたところ、抗原決定基にA型構造が含まれることが分かった。 さらにNMR及び陰イオンFABMSによる解析の結MRG-1と反応する糖脂質は下記の構造を持つタイプIIIA型糖脂質と決定された。ceramide-Glc4-Gal3-GlcNAc4-Gal(2-Fuc)3-GalNAc3-Gal(2-Fuc)3-GalNAc 今回得られたモノクローナル抗体はタイプIIIA型糖脂質を選択的に認識し、ラクトサミン構造を骨格とするA型糖脂質には全く反応しないという特異性を持つことが明らかになった。 今後、モノクローナル抗体の、卵巣腫瘍患者血清中における陽性率についても分析を加え、卵巣癌の組織型及び臨床における予後の診断に役立つかどうか検討して行きたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Kiguchi: "Glycosphingolipids of various human ovarian tumors: A significantly high expression of I^3SO_3GalCer and Lewis antigen in mucinous cystadenocarcinoma." Cancer Research. 52. 416-421 (1992)
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[Publications] K.Kiguchi: "Clinical usefullness of two newly established tumor associated antigens (CA54-61AND CA602) in ovarian cancer." 日本癌治療学会雑誌. 26. 78- (1991)
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[Publications] 木口 一成: "CA54/61の卵巣診断における有用性ーCA125の比較検討を中心として" 第9回腫瘍マーカー研究会記録. 5. 234-237 (1989)
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[Publications] 木口 一成: "Analysis of glycosphingolipids in ovarian tumors." 日本産婦人科学会雑誌. 41. 1131- (1989)
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[Publications] 木口 一成: "卵巣未熟奇形腫" 慶應医学. 65. 365-376 (1988)
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[Publications] 木口 一成: "人卵巣癌の糖脂質組成の特徴" 第47回日本癌学会総会記事. 228- (1988)