1992 Fiscal Year Annual Research Report
閉経後骨粗鬆症における細胞成長因子およびサイトカインの役割に関する研究
Project/Area Number |
03807110
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Research Institution | St.Marianna University School of medicine |
Principal Investigator |
佐賀 正彦 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (60081767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
与那嶺 京子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (20210784)
大野 祐子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (20233231)
近藤 俊彦 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (50215456)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 細胞成長因子 / サイトカイン |
Research Abstract |
近年骨芽細胞にエストロゲンに対するレセプターが発見され,エストロゲンはinsulin-like growth factor(IGF)やtransforming growth factor-βの産生を促し,骨形成を促進する一方,前破骨細胞から破骨細胞への変換を抑制し骨吸収を抑制することが報告されている。また,interleukin(IL)-1やtumor necrosis factor(TNF)-αが骨吸収を促進するとされる。そこでわれわれは閉経後骨粗鬆症の病態を解明する目的でCa調節ホルモンと共に細胞成長因子,サイトカインなどを測定した。 20代から80代の健常女子骨粗鬆症患者を対象とした。第3腰椎の骨量をQCT法により測定した。骨代謝の指標として血中intact PTH,PTH-M,カルシトニン(CT),1,25,(OH)_2D,24,25(OH)_2D,25-OHDおよび骨グラ蛋白(BGP)を測定した。サイトカインとして,末梢血マクロファージのIL-1βおよびTNF-αの産生能を測定した。さらに成長因子としてIGF-Iも測定した。その結果QCTによる。骨量は加齢により減少することを認めた。血中PTHは閉経後も正常ないし増加し,骨粗鬆症患者と有意差を認めなかった。骨粗鬆症患者において,血中CTは骨量と正相関があり,1,25(OH)_2Dは高度の骨粗鬆症で減少した。血中24,25(OH)_2Dや25-OHDも減少した。IL-1β産生能やTNF-α産生能は閉経後増加傾向にあり,骨粗鬆症患者で増加した。血中IGF-Iと骨量との間に有意の正相関をみとめた。 以上のことから骨粗鬆症ではIL-1βやTNF-αなどのサイトカインが増加している。エストロゲンは成長因子少なくともIGF-Iを介して骨量の保持に重要な役割を演ずるものと思われた。 以上の他に現在IL-6についても骨粗鬆症との関連について検討中である。
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[Publications] 佐賀 正彦: "女性退行期骨粗鬆症における全身性骨代謝調節因子の変動" 産婦人科の実際. 42. 91-100 (1993)
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[Publications] 岡野 一年: "退行期骨粗鬆症と核医学" ホルモンと臨床. 39. 905-912 (1991)
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[Publications] 岡野 一年: "退行期骨粗鬆症におけるInsulin-like Growth Factorの検討" 第13回神奈川Ca・骨代謝研究会報告雑誌. 13. 51-58 (1993)
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[Publications] 佐賀 正彦: "閉経後骨粗鬆症における細胞成長因子・サイトカインについて"