1993 Fiscal Year Annual Research Report
内耳インピーダンスの測定とその臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
03807113
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Research Institution | Ehime University School of Medicine |
Principal Investigator |
暁 清文 愛媛大学, 医学部, 助教授 (00108383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵頭 政光 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (00181123)
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Keywords | 内耳インピーダンス / 内耳窓膜の特性 / アブミ骨の可動性 / セラミック素子 |
Research Abstract |
内耳インピーダンスは内耳の音響物理特性を総合的に反映した指標であり、内耳病変を知る上で極めて重要と考えられる。しかし実際には測定が困難なことから、その臨床的意義についてはほとんど研究されていないのが現状である。本研究では圧電素子を利用した内耳インピーダンス測定装置を試作するとともに、その臨床応用の可能性を検討する目的で成犬を用いて実験を行った。さらに蝸牛窓破裂や閉鎖の影響についても検討を行った。 実験には3匹の成犬(体重7〜10kg)を用いた。動物は麻酔後、頭部を固定した。側頭部を露出して外耳道を削開し中耳腔を開放した。ついで鼓膜やツチ骨、キヌタ骨を除去し、アブミ骨を直視できるようにした。さらにマイクロマニピュレータを用いてアブミ骨上に測定プローブ先端を当て、これに電圧(2Vrms=2.82Vp-p)を負荷してプローブからの出力電圧と位相差を求めた。測定は1kHzから10kHzまで1kHzごとに行い、測定値から計算式により内耳インピーダンスを求めた。また、蝸牛窓を針で穿破したりデンタルセメントで閉鎖し、蝸牛窓破裂や閉鎖の影響についても検討した。インピーダンスの計算に必要なアブミ骨底板の面積は、実験終了後にアブミ骨を採取して光学顕微鏡下に長軸径と短軸径を求め、これを楕円とみなして算出した。この値は1.6〜2mm^2の範囲にあり、平均値は1.9mm^2であった。 成犬の内耳インピーダンスの測定値は2kHzで最も個体差が少なく、1kHz未満の低音域ではノイズが混入し測定できなかった。3耳での測定結果の平均値は1kHzで13.9MΩ、2kHzで20.6MΩ、3kHzで25.5MΩ、4kHzで37.8dBと、内耳インピーダンス値は高音域になるにしたがい増大した。また、蝸牛窓破裂により内耳インピーダンスは主に中音域以下で減少したが、閉鎖によってはわずかに増加するのみであった。
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