1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03807142
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
三嶋 基弘 第一薬科大学, 薬学部, 講師 (70190626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 龍彦 熊本大学, 医学部・附属病院, 助教授 (50040605)
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Keywords | 局所麻酔 / 経皮吸収 / リドカイン水性ゲル / ポリアクリル酸 / グリチルレチン酸誘導体 / グリチルレチン酸3-0-モノヘミフタル酸 / シネオール / 皮膚中濃度 |
Research Abstract |
リドカインの経皮吸収における各基剤の至適添加濃度、至適pHおよび吸収促進剤として用いたグリチルレチン酸誘導体の1つであるグリチルレチン酸3-0-モノヘミフタル酸Na_2(GA MHPh)の至適添加濃度についてリドカインの経時的な血中濃度を測定することで検討した。この結果、リドカインの最適処方は、ポリアクリル酸が1%、エタノールが30%、プロピレングリコールが10%、至適pHが7.4であり、GA MHPhが3%と言う知見が得られた。しかしながら本研究の目的は、リドカインの局所作用を目指したものであり、血中濃度のみでの評価では妥当性に欠くため、リドカインの皮膚中濃度を測定する必要性が生じた。そこで、平成4年度は、リドカイン水性ゲルを30分および1時間塗布後の皮膚、筋肉および血中濃度を測定することで検討した。また、新規吸収促進剤として生薬の精油成分の1つであるシネオールについても同様に検討した。 リドカインの皮膚中濃度は塗布1時間後において、リドカイン単独に比べてGA MHPh添加群で著しく増加したが、シネオール添加群では減少する傾向が認められた。リドカインの筋肉中濃度は塗布30分後では単独群とシネオール群においてほぼ同程度であったが、GA MHPh群では著しく低下した。しかし、塗布1時間後ではいずれの投与群とも単独群に比べて高くなる傾向となった。リドカインの血中濃度は塗布30分後では単独群とGA MHPh群にほとんど差は認められなかったが、シネオール群では著しい高値を示した。塗布1時間後でもその傾向は認められた。従って、薬物の血中濃度が高い場合は皮膚中濃度は低くなる傾向が認められた。また、血中濃度が同程度であっても皮膚中濃度が高くなる場合があり、GA MHPh添加において顕著に認められた。この皮膚貯留性が局所麻酔効果を高める要因と考えられた。しかし、効果発現濃度がどの程度であるかについては、今後、更に検討する必要がある。
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