1992 Fiscal Year Annual Research Report
グルタチオン枯渇後の酸化的ストレスに伴う肝特異的酵素誘導とその意義
Project/Area Number |
03807148
|
Research Institution | SHOWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉田 武美 昭和大学, 薬学部, 教授 (20138415)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼沢 聡 昭和大学, 薬学部, 助手 (80180686)
|
Keywords | グルタチオン / 酸化的ストレス / ヘムオキシゲナーゼ / チトクロム P-450 / 酵素誘導 / メタロチオネイン / スチルベンオキシド / 肝臓 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は、次の通りである。免疫抑制剤のアザオチプリンは、高用量(2mmol/kg)で、肝グルタチオン(GSH)を低下とヘムオキシゲナーゼ(HO)誘導作用を有し、このHO誘導が、アロプリノール前処置で阻害されるを明らかにした。トランス及びシススチルベンオキシド(TSOおよびCSO)は、いずれもHO誘導に伴い、常在型チトクロムP-450分子種である2C11と2E1を顕著に低下させることがウェスタンブロット法により明らかになった。TSOやCSOは、一方で2Bを著明に誘導した。TSOやCSOはHO誘導効果が弱い0.5mmol/kgの連続投与、P-4502B、2C11、2E1、2C6、3A2を誘導したが、2mmol/kgでは、2B以外の分子種の誘導は認められなかった。TSOやCSOは、用量依存的に、P-4502Bを誘導するとともに、常在型分子種の誘導にも大きな影響を及ぼすことが明らかになった。さらに、TSOとCSOは、ともに肝GSH低下後にメタロチオネイン(MT)も著明な誘導するとともに肝亜鉛含量の増加を伴うことが明らかになった。TSOやCSOの上述した種々の作用、およびMT誘導作用に対するラジカルスカンジャーの前投与の効果は、特に認められなかった。一方、パーフルオロデカノイン酸前投与は、著明に阻害効果を示したので、現在その機構について検討を進めているところである。TSOやCSO投与後の肝臓内GSHの分布、-SH及び-S-S-の変動に関しては、さらなる検討が必要であった。また、HO抗体の作製および遺伝子レベルでの機構解明も今後の課題として残された。一方では、本課題と関連して、新たにピリジン誘導体によるHO誘導を明らかにした。GSH枯渇に伴いストレス応答的に種々の酵素やタンパクが誘導されることが、本研究課題を通してより明確になった。
|