1991 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の加熱変性ゲルおよび自発ゲル化メカニズム
Project/Area Number |
03808008
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
勝田 啓子 新潟大学, 教育学部, 助教授 (50093555)
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Keywords | ホエイタンパク質 / βーラクトグロブリン / αーラクトアルブミン / 牛血清アルブミン / ゲル化 / 自発的ゲル化 / 架橋領域形成セグメント数 / ゲル化臨界濃度 |
Research Abstract |
タンパク質の加熱によるゲル化と8M尿素存在下での自発的ゲル化を検討するために、牛乳分離ホエイタンパク質(WPI)、およびホエイタンパク質の主要構成タンパク質であるβーラクトグロブリン(βーLg)、αーラクトアルブミン(αーLa)、牛血清アルブミン(BSA)の濁度、粘度、粘弾性測定を行った。 1.各々のタンパク質の加熱によるゲル化と室温での自発的ゲル化は、加熱温度が高いとき、あるいは自発的ゲル化ではタンパク質濃度が高いとき、以下の一次反応式で表すことができた。 G=G∞{1ーexp[ーkg(tーt_O)]} (G:G'orG"、kg:ゲル化速度、t:時間、t^0:ゲル化開始時間) 2.室温(25°C)での自発的ゲル化開始時間の対数値をタンパク質濃度に対してプロットしたところ、すべて直線関係が得られた。その直線の傾きは、WPI:11.9、βーLg:11.2、αーLa:3.0、BSA:25.6となった。 3.ゲル化の平衡弾性値G∞を算出し、基準濃度(10%)の平衡値で割って規格化した値をプロットして外挿し、ゲル化の臨界濃度を求めたところ、βーLgは約6%、BSAは約4%であった。 4.ゲル化に関与する架橋領域形成のためのセグメント数はβーLg:4.0、BSA:6.4であった 5.透過率の対数値をタンパク質濃度に対してプロットすると、直線関係が得られ、BSA、αーLaは高い値を維持し、しかも濃度依存性は小さく、βーLgは依存性大であった。 6.βーLgの尿素中での固有粘度は、水中のそれより約7倍大となっており、BSAはさらに大きくなっていた。 以上の事から、BSAが最もゲル化し易く、αーLaはし難い、βーLg、WPIはその中間であることが判明した。
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