1992 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ卵黄膜外層に新しく見つかった塩基性タンパク質の性質と機能
Project/Area Number |
03808011
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Research Institution | Kyoto Women's Junior College |
Principal Investigator |
木戸 詔子 京都女子大学短期大学部, 生活科学科, 助教授 (40153150)
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Keywords | 卵黄膜 / 塩基性タンパク質 / タンパク質一次構造 / タンパク質高次構造 / S-S結合 |
Research Abstract |
2年継続の本研究費の援助が得られ、卵黄膜から2つの新規タンパク質を効率良く精製し下記の成果が得られた。 1.平成3年度に163個の全アミノ酸配列を決定したVMOIの高次構造の解析を行った。VMOIのCDスペクトルパターンは240-220nmで明らかな正の吸収と290-270nmでの小さな正の吸収を与え、既知の蛋白質構造の概念からみると一見変性蛋白質と思われる立体構造を示した。しかし、これらの正の吸収は温度上昇に伴い減少し、60-70℃では負の吸収を与え、室温に戻すとVMOI本来の構造に巻き戻すことから、VMOIはα-へリックスを全く含まず、これまでの蛋白質に無い新しいタイプの立体構造を持つことを確認した。示唆熱分析による熱変性過程の測定結果からpH4.6では67.5℃に変性の転移点を示し、S-S結合を切断すると52℃を示した。また、VMOIの熱変性は2状態転移であることがわかった。(Biochemistry,1993に2報、投稿中)。 2.塩基性の強い、システインを際立って多く含むVMOIIについて(Biochem.J.,1992発表)一次構造の解析ため各種蛋白質分解酵素を用い断片化の条件及びHPLCでの断片化物の分離精製条件を検討した。その結果、NATIVE-VMOIIは蛋白質分解酵素に対し抵抗性を示しプロテアーゼインヒビター様の性質をもつことが示唆されたが、RCM-VMOIIをリジルエンドペプチターゼを中心とした断片化で、全一次構造決定の条件がほぼ確立できた。また、VMOIIは95℃まで温度をかけてもCD及びDSCパターンは変化せず、極めて熱安定性の高い高次構造をもつことが分かった。以上の通り、VMOIIの全一次構造決定条件がほぼ確立できたので、平成5年はVMOIIの全アミノ酸配列を決定し、さらにS-S結合の際立って多いVMOIIの高次構造の解析を行い、構造と熱安定性及び機能との関係について検討し、その結果を2報にまとめて報告の予定である。
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Research Products
(1 results)