1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03808012
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Research Institution | Hokkaido Univ.of Education |
Principal Investigator |
石田 讓 北海道教育大学, 教育学部・「釧路校」, 助教授 (90113654)
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Keywords | スポーツ運動 / 雄大性 / 運動時間 / 運動空間 |
Research Abstract |
1.人間が行うスポーツ運動であることを理解するためには、自己運動、主体概念の導入が不可欠であり、この様な人間学的運動学の立場を取りながら、その科学論的基礎を得ることが本研究では不可欠である。本年度は、わが国の人間学的運動学を代表する金子の示唆を参考にしながら、スポーツ運動における「体験される空間」の研究を進めるための科学論的認識を深める事に努めた。その結果、「体験される空間」は、従来から理解されている物理的世界と、スポーツ運動の中に住んでいる運動者の感覚世界が融合し合いながら「体験される空間」が造り上げられるものではないかという結論を見いだした。人の主観や感じ方を理解するために、実際の運動場面を取り上げ、現実の感覚世界へ潜入するため、特に「空間の認知」が問題となるようなスポーツ運動、逆さ世界の認知をテーマとして取り上げて考察していった。そこでは運動者の外からみた空間と運動者の中からみた空間とが明らかに異なる世界を持つことが確認された。特に逆さの世界では、運動者自身にとっても外からみている観察者にとってもただ逆さになること以上の空間として感じられることが確認された。しかしながらその成果は発表資料とするところまでには至っておらず、今後更に研究を進める上での知見としていきたい。 2.スポーツ運動における「体験される空間」を明らかにするため、平成3年度、4年度、5年度と人間の運動の感覚世界に潜入を試みたが、人間の感覚世界はそれぞれの人間に特有の世界があり、一律に同じ世界とはいえないところに素材の処理の困難さがあったものの、現在これまでのまとめを行っているところであり、その成果は研究成果報告書として提出予定である。
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