1991 Fiscal Year Annual Research Report
LeuーエンケファリンとMetーエンケファリンの機能は異なる
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03808018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
下東 康幸 九州大学, 理学部, 助手 (00211293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 素徳 九州大学, 理学部, 教授 (30038434)
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Keywords | エンケファリン / 鎮痛性ペプチド / 受容体サブタイプ / 立体制約アミノ酸 |
Research Abstract |
LeuーおよびMetーエンケファリンは、鎮痛を司る神経ペプチドとしてきわめて重要な生理的機能をもつ。両エンケファリンは同一の前駆体タンパク質中にコ-ドされ、共にδ型オピオイド受容体を介して鎮痛作用を発現すると言われている。しかし、これら2種のペプチドの機能が同じであるかについては未解決の問題である。本研究では、高度に立体制約されたアミノ酸2,3ーシクロプロピルフェニルアラニン(VPhe)を含む[DーAla^2,VPhe^4,Leu^5]エンケファリン(CPーEnK)が、ラット脳の新規なδ型受容体に特異的に結合することに着目し、「両エンケファリンが異なるδ型受容体のリガンドであり、機能が異なる」ことを立証するため、放射標識体を調製し、各種受容体応答解析のための基礎検討を実施した。 放射標識の対照リガンドとして最良のCPーEnKを選択するため、今回、こはまで合成が困難であったZ型(2R,3R)VPheおよび(2S,3S)VPheを含むCPーEnKの化学合成を試み、立体化学保持の化合物の合成に成功した。これらCPーEnKと既に合成済みのE型CPーEnK、合計4種のエンケファリンについて、ラット脳を用いて受容体結合試験を実施した。その結果、従来より区別されているδ型とM型受容体に対して調べたところ、Z型(2R,3R)体がδ型にIC_<50>値1.74nMと最も高い親和性を示した。しかし、M型へも親和性が高く(6.53nM)、従って選択性が約4倍と低く、E型(2R,3S)体の100倍を陵駕できなかった。Z型(2S,3S)体は非選択性、E型(2S,3R)体はほとんど不活性であった。この結果、放射標識にはE型(2R,3S)体が最良であることが判明した。放射標識体は、市販の ^3HーTyrとC端側VPhe含有ペプチドを酵素的に結合させることにし、ペプチドの化学合成とHPLCによ分離・精製の条件検討を実施した。その結果、 ^3HーTyr、前駆体ペプチドおよびエンケファリンの良好な分離が達成された。今後さらに、受容体の識別,アロステリック効果の解析を実施する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 下東 康幸: "レセプタ-を識別して認識するエンケファリン誘導体の合成" 有機合成化学協会誌. 49(2). 147-157 (1991)
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[Publications] Teruo Yasunaga: "Synthesis and biolgical activity of cysteamineーenkephalins containing Sーactivated thiol group." Peptide Chemistry 1990. 291-294 (1991)
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[Publications] Yasuyuki Shimohigashi: "Discriminative affinity labelling of opioids receptors by enkephalin and morphiceptin analog containing Npysーactivated thiol residues" Journal of Chromatography. (1992)
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[Publications] Kazuyasu Sakaguchi: "Receptor interactions of synthetic morphiceptin analogs containing phenyalanine homologs in position 4" Bulletin of the Chemical Society of Japan. (1992)