1991 Fiscal Year Annual Research Report
無脊椎動物に存在する血小板活性化因子(PAF)の意義
Project/Area Number |
03808019
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
杉浦 隆之 帝京大学, 薬学部, 講師 (40130009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬渕 清子 帝京大学, 薬学部, 教務職員
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Keywords | 血小板活性化因子 / エ-テル型リン脂質 / コリングリセロリン脂質(CGP) / エタノ-ルアミニグリセロリン脂質(EGP) / 無脊椎動物 |
Research Abstract |
本年度の研究では、48種の無脊椎動物を用いてPAFの量、およびPAFと構造上類縁のエ-テル型リン脂質について詳しい分析を行った。 主要なリン脂質であるコリングリセロリン脂質(CGP)とエタノ-ルアミングリセロリン脂質(EGP)についてエ-テル型リン脂質分析を行った。節足動物以外の無脊椎動物でPAF前駆体と考えられるアルキル型CGPが多量に含まれていることが分かった(CGPの30ー80%)。なおこの割合はPAF産生細胞として知られているほ乳類の白血球のアルキル型CGPの割合とよく似たものであった。次に各種無脊椎動物のPAFを定量したところ、下等な無脊椎動物にはPAFが多量に存在していることが明らかになった。例えば、カイメン、クラゲ、イソギンチャク、プラナリア、コウガイビル、イソゴカイ、イワムシ、ユムシ、ミミズ、ハマグリ、アサリ、シジミ、ナマコ、ウニなどには通常の状態でもPAFが多量に存在しておりPAFがこれらの動物において重要な役割を演じていることを窺わせるものであった。ナマコには全身にPAFが著しく高いレベルで含まれていた。ナマコを組織別に調べると腸には特に多く含まれておりその量は、ザイモザンなどで刺激したほ乳類の白血球並のレベルであった。一方、昆忠ではPAFはほとんど含まれていなかった。その原因として前駆体の欠如が考えられる。例外としてスズメバチに高いレベルのPAFが検出された。スズメバチに含まれるPAFの量は、組織に注入した場合、他のメディエ-タ-と協同して局所に炎症を引き起こすのに十分なものであり、実際に、毒の一成分となっているものと予想された。他の昆虫ではほとんど存在していなかった原因として前駆体の欠如が考えられる。
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[Publications] Sugiura,T.,et.al: "Production of platelezーactivating factor in slugs" Journal of lipid Research. 32. 1795-1803 (1991)
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[Publications] Sugiura,T.,et:al.: "PAF Receptor:Signal Mechanism and Molecular Biology" (1992)