1992 Fiscal Year Annual Research Report
エンドトキシン(リポ多糖)とカブトガニ抗血液凝固因子タキプレシンの相互作用
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03808036
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河野 敬一 九州大学, 歯学部, 講師 (10136492)
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Keywords | タキプレシン / ペプチド抗生物質 / リポ多糖 / エンドトキシン / NMR |
Research Abstract |
前年度は^<31>P-NMRによりりピッドAとタキプレシンの相互作用を検討したが、今年度は^1H-NMRの化学シフト変化から相互作用を検討した。タキプレシン側ではトリプトファン(2)のNH,β-CH,ξ-CH,リジン(1)のδ-CH,グリシン(10)のα-CH,アルギニン(15)のγ-CH,システイン(16)のβ-CH等が、DMSO中でリピドAとタキプレシンを混合することによりシフトした。グリシン(10)を除いた全てのプロトンがタキプレシン分子の尾部に属しており、この部位の塩基性残基とリピドAのリン酸基の相互作用が考えられる。一方、リピドA側では非還元糖部分のNH,3^1,5^1のプロトンが各々複合体形成によりシフトしていた。還元糖部分ではNHのみがシフトしていた。また、帰属は確定していないが脂肪酸のα,βプロトンもシフトしていた。非還元糖のプロトンがシフトしていることは、前年度の^<31>P-NMRの結果とも一致する。このことは非還元糖のリン酸基のpKa値が還元糖のそれよりも低いことに由来していると思われる。3^1,5^1のシフトは近傍のリン酸基に対してタキプレシンの尾部の塩基性残基が静電結合したことによる影響と解釈できるが、指肪酸のシフトはタキプレシンの別の塩基性残基の荷電による効果、またはトリプトファン(2)の環電流効果によると考えられる。一方、タキプレシンの骨格構造はDMSO中と水中で同じであることを^1HのCOSY,NOESYで確認した。しかし、リピドAを加えるとシステイン(16)のNHとアルギニン(17)のNHの間にNOEが新たに出現しており、尾部のコンフォメーションに変化のあることが明らかとなった。更に複合体の構造を精密化するためには分子間のNOEを検出しなくてはならないが、溶解度がネックとなって現時点では検出できていない。今後さらに条件を検討していく予定である。
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[Publications] Hatsumi Nagadome: "Identification of the adsovbing site of lysozyme onto the hydroxy-apatite surface using hydrogen exchange and HNMR" FEBS Letters. 317. 128-130 (1993)
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[Publications] Tadashi Ueda: "Detection of subtle difference in the surface structure of lysozyme by use of an immobilized Fad fragment" Journal of Biochemistry.