1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03831017
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
三宅 なほみ 中京大学, 情報科学部, 教授 (00174144)
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Keywords | 思考支援環境 / 内省過程 / 外化 |
Research Abstract |
本研究は、思考支援環境の設計のため、認知心理学による理論付けとその認知科学的な実証を目指している。具体的には、「自分自身の認知活動の中途結果の外化、対象化」と「対象化された自身の認知活動結果に対する意識的な内省」の働きの分析を試みた。パ-ソナルコンピュ-タを利用した批判的読み、意見文作成の課題と、物理の問題解決課題を実験的に観察し、その過程をプロトコル分析により解析した。プロトコルの分析には時間がかかるため、これは今後も続行する。 ●批判的読み、意見文作成課題(実験研究) 内省的吟味を促進する一つの外的環境として、外化対象の操作性を保証するワ-ドプロセッサの使用について考察した。比較条件群は、統制群として、単独被験者手書群5名、実験群として、単独ワ-プロ使用5名、複数ワ-プロ使用4組8名である。結果としては、ワ-ドプロセッサを使用することによって、既に読んだところを見返しながら読出量が増すなどの吟味行動が多少増す傾向が見られた。また書いている途中で内容を変える、表現を工夫するなどの編集行動は、ワ-ドプロセッサ使用群で有意に増加するが、この行動が直接完成された意見文の質に反映されるというわけではなかった。 ●内省過程についてのプロトコル分析 意見文作成過程と、物理問題解決過程にみられる内省について、それぞれの課題遂行中の言語行動記録簿を分析した。この分析はまだ終了していないが、現在までの結果として、以下のような内省過程分類のための項目が同定されている。課題解釈に対する内省、自身の信念に対する内省、その場でのひらめきに対する内省、自身の思考過程(経過)に対する内省、考え方の根拠としての自身の知識、論理選び、社会常識に対する内省、及び自身の内省に対する内省。
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