1991 Fiscal Year Annual Research Report
病原性物質制御の観点からの都市社会システムの安全性評価手法の開発
Project/Area Number |
03832011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大垣 眞一郎 東京大学, 工学部, 教授 (20005549)
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Research Abstract |
ウイルス,細菌を中心とする病原性物質の都市内水循環システムの中での挙動と,そのリスクの大きさに関するデ-タの収集および安全性の評価手法について研究を進め次の成果を得た。 (1)ウイルス指標としてのバクテリオファ-ジの有効性について、オランダを中心とする国際的な研究グル-プと連絡をとり、各種の情報を得ると共に、日本での成果を報告し、情報交流を行なった。 (2)バクテリオファ-ジの都市河川への流出過程を明らかにする一環として、現在まで全くデ-タが存在していなかった合流式下水道越流水中の大腸菌ファ-ジ(F特異RNA大腸菌ファ-ジ)の一降雨中での濃度変化を実測することに成功し、合流式下水道の水質改善の方法へ新しい評価手段を提案できるデ-タを得た。調査結果では、下水処理場への流入下水とは異なり、ファ-ジは、ほとんど液相に存在し、最初沈澱池の機能と同程度の沈澱分離装置を設置しても効果は小さいことが明らかとなった。 (3)ウイルス指標としてのファ-ジの特性を明らかにするために、水系中での大腸菌ファ-ジの増殖条件を探り、通常の都市内河川、都市内下水道の中では、容易には増殖しないことを見い出した。従って、特殊な条件下でない限り、F特異RNA大腸菌ファ-ジを指標として用いても、増殖の可能性の面からは問題はないであろうことを明らかにした。 (4)総合評価のための各種基本デ-タを、地方自治体の衛生研究所等より収集する計画は,一般にデ-タ集積が公開できるほど十分でなく、今後に残された課題となった。
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