1991 Fiscal Year Annual Research Report
セキュリティの観点からの社会システムの安全性評価に関する研究
Project/Area Number |
03832025
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 紘一 京都大学, 工学部, 教授 (70026079)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸田 武久 京都大学, 工学部, 助教授 (60205333)
|
Keywords | セキュリティ / 防犯システム / 警備要員の最適配置 / 監視装置の最適配置 / 多重カット問題 / 防備突破難易度 / 一般化最大流問題 / プレフロ-・プッシュ・アルゴリズム |
Research Abstract |
研究計画の初年度である今年度は,「研究目的・研究実施計画」の内,「外敵の防備突破難易度の概念に基づく社会システムの安全性評価に対するシステム工学的手法の検討」について主に考察した。その中でも特に,「ネットワ-クで表現されるようなシステム(道路綱など)に対する警備要員,監視装置等の最適配置に関する検討」に重点を置いて研究を進めた。得られた成果の主なものは,以下の通りである。 1.外敵の防備(警備要員,監視装置等)突破難易度をk重カット問題として定量化および定式化することを提唱した。k重カットの概念はグラフ理論でいうカットのそれを一般化したものであり,k=1の場合が従来のカットに相当する。k重カット問題あるいは警備の最適配置問題とは,侵入者がグラフ・ネットワ-ク上にある点から目的点に到達するまでに,いかなる侵入路を取ろうとも,警備要員あるいは監視装置等により,少なくともk回確認されるようなそれらの配置を最小費用で実現するという問題である。 2.上述のk重カット問題を,任意に与えられた大規模グラフ・ネットワ-クに対して解くことの出来る計算量論上効率の優れたアルゴリズムを導き,その有効性を各種の例題に適用することで確認した。まず,k重カット問題は,一般化最大流問題を経由して解くことが出来ることを示し,ついで最大流問題におけるAhujaーOrlinによるプレフロ-・プッシュ・アルゴリズムを応用して一般化最大流を求めるアルゴリズムを導出した。提案したアルゴリズムに関する計算量論的検討を行った結果,効率に優れたアルゴリズムであることが証明された。また,本アルゴリズムは,最小人員での警備要員配置問題において特に優れていることを明らかにした。
|