1991 Fiscal Year Annual Research Report
社会における環境保全意識・態度の形成及び発展の動力学的過程に関する研究
Project/Area Number |
03832034
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井村 秀文 九州大学, 工学部, 教授 (20203333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二渡 了 九州大学, 工学部, 助手 (60173506)
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Keywords | 社会システム / 環境保全 / 意識形成 / シナジェティクス / 大域的構造形成 |
Research Abstract |
集団を構成する個々人の意識・態度が社会全体の意識・態度を決定するメカニズムを、シナジェティクスの考え方により分析した。モデルとしてはセル・ダイナミカル・システム・モデルを用い、2次元格子で表現された集団の構成員の意識状態の経時的な変化について検討した。個々人の意識状態を、それを決定する力の増加関数とし、その関数にS字型曲線を採用した。この意識・態度を決定する力は、(1)自己の意識が次の時点で意識形成に及ぼす効果(自己確信度)、(2)構成員同士の相互作用、(3)集団外部からの影響の3つの和であるとした。これらの影響の大きさを変数パラメ-タにより表現し、種々のパラメ-タを設定して、シミュレ-ションを行った。なお、各構成員の初期の意識状態は正規分布で与え、構成員は全員同質とした。計算された意識状態を20の階層に分け、各階層の構成人数の分布及び集団の特性を表す巨視的変数として集団の相関係数を求め、意識形成の各要素による特性を検討した。その結果、最初はランダムであった意識状態の分布が、時間の経過とともに集団を形成し、これが大きくなっていく様子が示された。また、集団の自己確信度が1より大きい場合には、定常状態(意識分布に変化がない状態)における集団の意識状態の分布が二峰分布に、小さい場合には単峰分布になること、相互作用の強い集団では、集団内の意識状態の相関が強くなること、外部からの影響に敏感に反応する集団ほど意識状態に偏りをもつ傾向があることが明らかとなった。 今後は、個人の意識・態度の形成過程にニュ-ラル・ネットワ-ク・モデルを適用すること等によって、モデルを現実の社会集団により近いものに改善するとともに、様々な環境問題に関するアンケ-ト調査を実施して、現実の市民の意識・態度とモデル解析結果との比較検討を行い、それらの動的メカニズムに関する分析手法を確立する。
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