1992 Fiscal Year Annual Research Report
水環境の質的管理のための窒素の消長におよぼす藻類・細菌の共生評価に関する研究
Project/Area Number |
03832039
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Research Institution | NIHON UNIVERSITY, COLLEGE OF ENGINEERING |
Principal Investigator |
松本 順一郎 日本大学, 工学部, 教授 (70005180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 玄正 日本大学, 工学部, 教授 (20060147)
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Keywords | 水環境 / 窒素の消長 / 自浄作用 / 照度 / 藻類 / 硝化細菌 / 光合成作用 / 脱窒 |
Research Abstract |
1.本研究は水域における窒素系物質の自浄作用の機構解明に関する一連の研究の一環として、対象水域を淡水、汽水、海水域とし、各水域における藻類の増殖と代謝特性、硝化関連細菌の関与性が光照度の影響をどのように受けるかを明かにすることを目的として比較実験を行い解析を進めたものである。 2.研究方法として、光合成作用が行われる明条件下で、照度の影響について0-100、500、1,000、5,000、10,000luxと5段階に設定して実験的に検討する。そのために、5台の完全混合連続培養装置(容量5l)を用い、滞留時間を16時間、温度を25℃として、淡水系および汽水系における藻類の光合成作用と硝化関連細菌による硝化作用・脱窒作用および両者の相互作用等を実験的に明らかにする。平成3年度、4年度にわたり、淡水系・汽水系・海水系について実験研究を進めた。 標準基質は塩化アンモニウム(Nとして10mg/l)とリン酸とし、痕跡元素を添加する。海水系については海水組成に従った人工海水、汽水系については海水濃度50%、75%の濃度で実験を進めた。 3.以上の実験の結果、各水域における藻類の増殖と代謝特性、硝化関連細菌の関与性が光照度の影響をどのように受けるかについて、以下のような結果が得られている。 1)淡水系ではpH値は低い。また、海水濃度が高いほど、光強度が強いほどpH値は高くなる。 2)淡水系では光強度の強いA槽でSSやCOD_<OH>は高く、光強度の弱いほどSS、COD_<OH>は低くなる。また、海水濃度が低くなるほどSS濃度やCOD_<OH>はは小さくなる傾向が見られる。 3)淡水系では光強度の強いA槽でクロロフィルは高く、弱くなるにつれて低くなり、藻類生産の違いを明瞭に見ることができる。また、海水濃度が低くなるほど反応槽内クロロフィルa濃度は小さくなる傾向が見られている。 4)淡水系では、流入水中のアンモニア性窒素が細菌による硝化や藻類による摂取の反応を受けないまま流出している。また、光強度が強い方が流出する割合が小さい傾向が見られる。また、光強度の強さに関連した藻類による摂取の影響を見ることができる。また、海水分の影響が極めて大きいことがわかる。 5)淡水系では光強度の10,000luxであったA槽でアンモニア性窒素は60%が未反応のまま流出し、光強度が弱くなるにつれて、流出率は、それぞれ、67%、72%、76%、80%と高くなり、光強度の相違を見ることができる。亜硝酸化率については、光強度の相違を見ることができない。硝酸化率については、光強度が弱くなるほど低くなる。窒素同化率については、光強度が弱くなるにつれて小さくなる。 6)汽水系、海水系についても、淡水系と同様な傾向が見られている。 7)アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、脱窒素菌等の細菌数については、必ずしも明確な傾向を把握することは出来なかった。
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Research Products
(1 results)