1991 Fiscal Year Annual Research Report
発芽酵母第VI染色体の複製様式とその制御配列の解析
Project/Area Number |
03833018
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小笠原 直毅 大阪大学, 医学部, 講師 (10110553)
|
Keywords | 染色体 / 複製開始 / 発芽酵母 / Saccharomyces cerevisiae / ARSプラスミド / ARSコア配列 / ARSエンハンサ-配列 |
Research Abstract |
1.染色体複製は細胞複製と共役した厳密な制御を開始の段階で受けており、細菌については複製開始制御にかかわるtrans及びcisの因子の解析が進んでいる。一方、真核生物についてはそうした制御因子の実体ほとんど明らかにされておらず、とりわけ、真核生物に固有な複数の複製単位(レプリコン)が秩序だって複製される機構についての分子レベルでの解明が遅れている。酵母染色体はその大きさが小さく、真核生物の染色体複製の全体像の解析の対象として最適である。さらに、酵母ではプラスミドとして自己複製能を持つ配列(ARS配列)が容易に単離され、その配列は染色体上でもcisの複製制御情報として機能していると考えられている。 2.我々は真核生物染色体の複製制御の全体像を明らからにすることを目指して、発芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)第VI染色体(290kb)について、まず整列クロ-ンバンクを作成し、さらに、ほぼ全てのEcoRI及びHindIII断片をARS活性測定用プラスミドにクロ-ニングし、そのARS活性を測定した。その結果両末端のテロメア近傍約25kbpを除く230kbpの領域について、正確な物理地図を作成でき、その上に9個のARS配列を同定した。このようにある特定の染色体上のARS配列の配置を完全に決定した例は今までに報告されていない。 3.酵母のARS配列のコア配列と呼ばれるARS活性に必須なATに富む配列と、その3側にあるエンハンサ-配列から構成されると従来考えられていた。我々は単離したすべてのARSプラスミドについて、欠失および塩基置換を導入することにより、コア配列とエンハンサ-配列の同定を試みた。その結果、エンハンサ-配列が存在せずコア配列を含む配列のみで強いARS活性を示すもの、あるいは単一のコア配列が存在しないものが多数であり(6/9)、従来のARS配列についての考え方を再検討する必要があることが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 小笠原 直毅: "酵母のARSプラスミドと複製開始点" 実験医学. 9. 1410-1414 (1991)
-
[Publications] Iwasaki,T.: "The direct cloning of the yeast genome using the gapーfilling method and the complete physical mapping of Saccharomyces cerevisiae chromosome VI" Gene. 109. 81-87 (1991)