1991 Fiscal Year Annual Research Report
核タンパク質の核内移行活性の制御とタンパク質リン酸化反応の関係に関する研究
Project/Area Number |
03833022
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
米田 悦啓 大阪大学, 細胞工学センター, 助教授 (80191667)
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Keywords | 核局在化シグナル / 合成ペプチド / タンパク質リン酸化 / 核タンパク質輸送 / タンパク質ソ-ティング / 核膜孔 / 赤血球ゴ-スト法 |
Research Abstract |
SV40 large T抗原の核局在化シグナル(Nuclear Location Signal;NLS)とその周辺部を含む合計34個のアミノ酸残基からなる長い合成ペプチド(long Tペプチドと呼ぶ)を用いることにより、IgMのような巨大な分子をも核内に移行させることができることがわかった。従来は、NLSだけを含む合成ペプチドを結合させてもIgMのような巨大な分子は核に移行できず、NLSによって核内に入り得る核タンパク質の大きさに制限があると考えられていた。本研究で得られた上記の結果は、この概念を打ち破るもので、感染過程でのSV40ウィルス粒子の核への移行や、RNAポリメラ-ゼのような巨大なタンパク質複合体を形成している分子の核への移行のメカニズムを考える上で、重要な示唆を与えるものと思われる。このlong Tペプチドをウシ血清アルブミン(BSA)に結合させ、赤血球ゴ-スト法を用いて細胞内に導入すると同時に、32pーorthophosphateでタンパク質を標識して解析することにより、long Tペプチドが特異的にリン酸化を受けていることがわかった。リン酸化の効果をみるため、long Tペプチドの中で、リン酸化され得ると考えられる4個のSerine/Threonine残基をAlanineに置換させた変異型long Tペプチドを新たに作製した。これをIgMに結合させて核への移行を調べてみると、効率は低下するものの、IgMを核へ移行させる活性は保持されていた。また、上記と同じ方法を用いて、変異性long Tペプチドは実際にリン酸化を受けないことが確認された。さらに詳細に時間経過を追ってペプチドーIgM結合物インジェクション後の細胞内局在を観察したところ、変異型long TペプチドーIgM結合物は、野生型long TペプチドーIgM結合物と比べて、核膜周辺部で長時間留まっていることを示唆する結果が得られた。このことから、リン酸化は、核膜孔通過あるいは、その直前のステップでの効率に何らかの役割を果たすのではないかと推測される。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Mitsuru Kido: "Escherichia coli RecA protein modified with a nuclear location signal binds to chromosomes in living mammalian cells." Experimental Cell Research. 198. 107-114 (1992)
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[Publications] 今本 尚子: "核タンパク質の核内輸送機構" BlO medica. 6. 413-418 (1991)
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[Publications] 今本 尚子: "蛋白質の核へのタ-ゲティングと局在化の分子機構" 実験医学. 9. 2196-2202 (1991)
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[Publications] 米田 悦啓: "核タンパク質の核内移行のメカニズム" ブレインサイエンス. 2. 495-497 (1991)
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[Publications] 米田 悦啓: "タンパク質の核移行とそのシグナル" BlO medica. 7. 160-164 (1992)