1991 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞死・変性に伴って活性化されるカスケ-ドの解明
Project/Area Number |
03833026
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
小池 達郎 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (80128131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 秀逸 佐賀医科大学, 医学部, 教務員 (90202431)
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Keywords | 細胞死 / 小脳 / 交感神経節 / 神経成長因子 / 分子生物学 / プロトオンコジン / PC12 / シクロヘキシミド |
Research Abstract |
(1)小脳granule神経細胞の細胞死に伴い活性化されるカスケ-ドの同定 細胞死に関連した物質(DAPS)を同定するためには、現在の技術では多量に試料を調製する必要がある。この為、分化したPC12細胞及び小脳granule細胞を用いる。小脳granule細胞は7日目のラット小脳から培養する。この時点で細胞はまだ増殖している為、90%pureなgranule細胞を得られる利点がある。栄養因子説によれば、postmitoticな神経細胞はそのtarget細胞から栄養因子の補給をうけないと死んでしまう。実際、granule細胞は培養5日目には全て死に、しかもこの過程はactiveな過程であった。即ち、蛋白合成を抑えるか又は脱分極するとと細胞死は防げることが判った。この栄養因子欠乏のための細胞死に伴う情報伝達系を調べる為、さらにクロ-ニングを行っている。即ち、シクロヘキシミドマイナス(細胞死の起こる条件))及びプラス(細胞は死なない条件)の条件下で細胞を培養し、抽出されるmRNAからcDNA Libraryをラムダベクタ-を用いて作成した。更に両者のSubtracted Libraryを作成する試みを行っている。このSubtractionが十分うまくいっているとはいいがたく、種々の方法を模索している段階である。さらに、ライブラリ-の差をとる以外に細胞死の活性の発現を調べるシステムとしてベストの系を検討している。 (2)NGF除去により引き起こされるカスケ-ド過程の同定 交感神経節細胞は、ラット新生胎児の上頸神経筋SCGからとり出し1週間NGF存在化で培養したものを用いる。NGF抗体を培地に加え、NGFを除いた後、時間をおって死んだ細胞の増加を調べた。死細胞の割合は、培地中に出てくるアデニル酸リン酸化酵素の活性から求めた。シクロヘキシミド投与による実験から細胞死への最終的なコミットメントはNGFを除いて約18時間後におこるとされている。NGFを除いたという情報がどの様な機序で細胞死にかかわるmRNAの合成を促進するのか?まず、protooncogene遺伝子(cーfos等)の活性化が起こることを見いだした。NGF除去によるPC12細胞の細胞死は転写依存過程と非依存過程からなり、前者は蛋白分解酵素阻害剤で阻止された。後者の過程はPC12細胞の場合、SCG細胞と良く似た過程でおこることが分かったので、ライブラリ-を作成している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 小池 達郎: "Moleaelard Cellular mechanism of neuronal degeneratio cause by NGF deprivation approached through PC12 cell culture" Prog.NeuroーPsychopharmacold Biol.Psychiat.16. 95-106 (1992)
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[Publications] 小池 達郎ら: "Evidence that NGF dependence of sympathetic neurons in vitro may be determined by levels of cytoplasmic free Ca^<2+>" Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 88. 3892-3896 (1991)
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[Publications] 小池 達郎ら: "酸性・塩基性繊維芽細胞成長因子は神経成長因子除去によるPC12細胞の細胞変性を阻止する" 神経化学. 30. 460-461 (1991)
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[Publications] 田中 秀逸ら: "神経成長因子除去によるPC12細胞変性におけるcーfosの活性化" 神経化学. 30. 462-463 (1991)
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[Publications] 小池 達郎ら: "神経栄養因子除去による神経細胞死" 代謝. 28. 53-60 (1991)