1992 Fiscal Year Annual Research Report
筋分化誘導因子myogeninの遺伝子構造とその発現制御機構
Project/Area Number |
03833037
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
藤沢 淳子 国立精神神経センター, 神経研究所遺伝子工学研究部, 室長 (60209038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍋島 陽一 国立精神神経センター, 神経研究所, 部長 (60108024)
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Keywords | 細胞分化 / 筋分化 / 筋分化誘導因子 / myogenin / C3H10T1 / 2 細胞 / 転写調節 / MyoD / 発生生物学 |
Research Abstract |
骨格筋の分化は、中胚薬由来の一群の細胞が筋芽細胞としての決定を受け、増殖し、さらに多核の筋管細胞を形成していくプロセスであり、胚発生における器官形成、細胞分化のメカニズムを探る有用な系のひとつである. Myogeninは、MyoDファミリーに属し、筋細胞特異的遺伝子群の発現を誘導する転写因子であるが、この遺伝子は、マウス胚の体節及び肢芽で その強い転写活性化がみられ、またこれまで報告されているかぎり全ての樹立筋芽細胞で構成的あるいは誘導的な発現がみられる。我々はmyogenin遺伝子の胚発生における発現誘導機構に興味を持ち、前年度までに(1)myogenin遺伝子を単離し、(2)その遺伝子上流にCAT遺伝子を結合したリポーター遺伝子を作成し、種々の細胞に導入することにより、これが筋細胞特異的な発現を示すこと、(3)さらに、MyoD、MRF4等、他の筋分化誘導因子によってその転写が活性化されることを見出した.本年度は、このリポーター遺伝子をlacZ遺伝子に置き換えたキメラ遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作成し、胚発生におけるその発現を調べた.その結果、8。5日胚の体節で強い発現が見られ、9。5日胚のbranchyial arches(咽頭筋や顔筋の筋芽細胞が生ずる部位)、さらに11日胚で肢芽における誘導がみられ、13日胚では筋肉組織のほぼ全体でみられた。これらは、報告されているmyogenin遺伝子の発現パターンとほぼ一致しているものであった. 以上のことから、myogenin遺伝子の上流領域には、筋細胞特異的な発現に必要な領域と体節および肢芽における発現誘導にかかわる領域が含まれていることが示された。そしてさらに、プロモーター領域の解析から筋細胞特異的な発現に必要な領域は主に-300bpまでの近傍にあるのに対し、体節における活性化には、更に上流領域がが必要であることを明かにした。
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[Publications] Fujisawa-Sehara,A.: "Differential-activation of muscle-specific regulatory elements including the MLC box by chicken MyoD, myogenin,and MRF4." J.Biol.Chem.267. 10031-10038 (1992)
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[Publications] Piette,J.,: "Localization of mRNAs coding for CMD1, myogenin and the a-subunit of the acetycholine receptor during skeletal muscle development in the chicken." Mechan. Dev.37. 95-106 (1992)
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[Publications] Fujisawa-Sehara,A.: "Upstream region of the myogenin gene confers transcriptional activation in muscle cell lineages during mouse embryogenesis." Biochem.Biophys.Res.Commun.(IN PRESS.)