1991 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ分子生物学によるPDGF受容体族の機能と情報伝達の個体レベル解析
Project/Area Number |
03833039
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
西田 育巧 愛知県がんセンター, 研究所, 部長 (50107059)
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Keywords | 受容体Tyrキナ-ゼ / ショウジョウバエ / シグナル伝達 / FGF受容体 |
Research Abstract |
細胞増殖制御に関与する受容体Tyrキナ-ゼの同定と、そのシグナル伝達のカスケ-ドを解明するために、ショウジョウバエのPDGF受容体相同遺伝子などの新たな受容体Tyrキナ-ゼ遺伝子を単離し、その構造解析と共にそれらの欠損した突然変異体を分離し、その機能やカスケ-ドを主に個体レベルから解明することを目的とする。 これまでにヒトcーretをプロ-ブとして6種の新しい受容体Tyrキナ-ゼ遺伝子を単離した。また、キナ-ゼドメインの共通配列を利用したPCR法によってもいくつかの遺伝子を単離した。塩基配列の解析からこれらの内の2種がFGF受容体様の構造を有することを明かにした。唾腺染色体へのin situハイブリダイゼ-ションにより決定した染色体上の位置から、各々DFR70CとDFR90Eと命名した。いずれも4.3kbのmRNAを産生し、全発生過程を通じて発現されること、そして、胚発生後期に発現が高いことを認めた。また、各々のcDNAも単離し、その配列を遺伝子のそれと比較したところ、DFR90Eはイントロンを含まないことが解った。胚へのin situハイブリダイゼ-ションにより、DFR70Cは気管形成部と正中線細胞で、そして、DFR90Eは中胚葉組織で特異的に発現されることを見いだした。 単離した遺伝子が欠損した突然変異体の分離を試みつつある。そのために、P因子が染色体上の任意の位置に挿入された系統を多数作成し、P因子と単離した遺伝子の配列を利用したPCR法やプラスミドレスキュ-法で特定遺伝子座へのP因子の挿入を検出することを試みつつある。
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[Publications] Yamaguchi,M.,Hirose,F.,Nishida,Y.,& Matsukage,A.: "Repression of the Drosophila proliferating -cell nuclear antigen gene promoter by zerknullt protein." Mol.Cell.Biol.11. 4909-4917 (1991)
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[Publications] 西田 育巧: "癌遺伝子が分化に果たす役割:ショウジョウバエを用いた解析" 実験医学. 9. 731-736 (1991)