1991 Fiscal Year Annual Research Report
生体内における血管内皮細胞の接着メカニズムについて
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03833040
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
藤原 敬己 国立循環器病センター研究所, 循環器形態部, 部長 (10190092)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 細胞接着 / ストレスファイバ- / ファイブロネクチン / 接着斑 / 血管 |
Research Abstract |
血管内皮細胞の細胞間及び細胞基質間の接着は、正常な血管機能の維持にとって極めて重要である。細胞と基質間の接着についての研究は培養細胞を用いた研究がその主流をしめる中で、実際の組織を扱ったものとしてこの研究はユニ-クであると考える。本年度の目的は血管壁にある内皮細胞のストレスファイバ-(SF)の超微構造および末端部の形態を明らかにし、培養細胞SFと比較・検討することであり、この目的はほぼ達成できた。まず生体内の細胞のSFは、超微形態的にも培養細胞のものと、際だった違いのないことが明らかになった。このことは我々が以前発表した蛍光抗体染色の結果と矛盾しない。培養細胞の基底側にあるSFの末端部は接着斑と呼ばれる、細胞と基質の接着部になっているが、血管内膜でもSF末端部はビンキュリン、ファイブロネクチン(FN)などの局在、電子密度の極めて高いことなど、接着斑の基本的特徴を備えていた。この結果は血管内膜を形成している内皮細胞にも接着斑があり、細胞一基底膜間の接着に携わっていることが強く示唆される。また蛍光抗体染色法でみた各種細胞骨格蛋白の生体内細胞SFでの局在は、一般的に見て、培養細胞に比べて規則性(または周期性)が顕著であった。このことについては、培養細胞が培養という極めて非生体的環境で生息するために、SFの発現が誇張され、規則性が見え難くなったためと考えている。培養細胞は接着斑に局在するインテグリンを介して、繊維上になったFNに結合している。この場合しばしばFNの繊維とSFが同じ方向に並んで見えることが知られている。ニワトリ胚の腸間動脈内皮のSFと基底膜にあるFNの繊維の方向を調べてみると、両者とも血流方向に並んでいた。この相互関係の成立過程を発生胚で見てみると、SFの発達・方向性の確立がFNのものに先行して起こることが分かった。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 藤原 敬己: "細胞接着と細胞骨格" Human Cell. 4. 109-115 (1991)
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[Publications] 藤原 敬己: "流れ存在下での血管内皮細胞の形態と運動の方向性" 脈管学. 32. 57-59 (1992)
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[Publications] 藤原 敬己: "細胞骨格" 病理と臨床ー臨時増刊キ-ワ-ド. 9. 204 (1991)
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[Publications] 増田 道隆: "内皮細胞の細胞生物学と血流" BME. 6. (1992)
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[Publications] 増田 道隆: "血管内皮" 循環生理機能と病態.
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[Publications] 神宮司 洋一: "心筋の微細構造" 循環生理機能と病態.
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[Publications] Masuda,M.: "Morphological responses of single endothelial cells exposed to physiological levels of fluid shear stress." Front.Med.Biol.Eng.
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[Publications] Sunada,H.: "Preservation of differentialted phenotypes of aortic endothelial cells in cuture." Europ.J.Cell Biol.
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[Publications] Fitgherald,M.: "Highly ordered distribution of cytoskeletal proteins in stress fibers of cultured aortic endothelial cells treated with a low concentration of cytochalasin B." Cell Motil.Cytoskel.
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[Publications] Jinguji,Y.: "Organization of stress fibers and fibronectin in the embryonic chick mesenteric artery endothelium."