2003 Fiscal Year Annual Research Report
複雑非線形システムのロバスト性と可安定性の理論研究
Project/Area Number |
03F00045
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 博 九州工業大学, 情報工学部, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RATHINASAMY Sakthivel 九州工業大学, 情報工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 非線形システム / 偏微分方程式 / ロバスト安定化 / 可安定性 / 境界値制御 / 複雑システム |
Research Abstract |
本課題初年度は、研究の第一歩として、サブシステムの単純結合からなる複合システムの可安定性に取り掛かることから始めた。複雑なシステムを焦点とするため、モデルを常微分方程式に限らず偏微分方程式で記述されるような複雑システムに対して統一的な理論展開することを目標とした。 システムモデルの非線形偏微分方程式としてまず、Burgers方程式に取り掛かった。Burgers'方程式は流体の簡略モデルであり、乱流も多少ながら表現することができる非線形偏微分方程式として、ナビエストークス方程式の1次元近似と呼ばれることも多い。システム制御分野において可安定性の研究はまだそれほど進んでいない。物理定数に不確定性があるBurgers'方程式を、確定動的システムと不確定静的システムからなるフィードバック結合のように表現することから始めた。 静的システムの変動は結合システム全体の可安定性にも大きく影響を与える。そこで、静的システムが変動する状況下での大域安定化問題に取り組んだ。実システムの制御を意識し、入力を境界入力に制限して安定化可能性を研究した。システムは非線形であることから、可安定性の解析には、何らかの非線形的道具でシステムを捉えることが有効であり、それは常微分方程式システムの場合から類推できることであった。本研究で重要視したことは、非線形偏微分方程式モデルの複雑性は非線形性だけはなく、空間的な不均一性にあり、常微分方程式のようにモデルの振舞いは空間的に均一ではないことである。そこで、非線形偏微分方程式モデルが持つ空間的な複雑性を扱うために、空間依存スケーリングという新しい方法の提案に至り、その基礎理論の整備と有効性の検証を行った。 従来より研究代表者は、非線形性をうまく取り扱う状態依存型のスケーリングを提案し、その非線形システムに対する有効・不可欠性を示してきた。本研究では、結合システムが偏微分方程式であることから、空間的な不均一性から生まれる複雑性をうまく取り扱うためには、空間変数に依存するスケーリング要素が有効であることが解明できた。空間的複雑性には状態依存スケーリングは効果がないことを理論的に立証することもできた。
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