2004 Fiscal Year Annual Research Report
立方晶窒化ホウ素のエピタキシャル成長を目指した新規プラズマプロセシング開発
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03F03055
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 豊信 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楊 杭生 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | cubic boron nitride / turbostratic boron nitride / epitaxial growth / time dependent bias technique / Inductively coupled plasma CVD / TEM observation / nano indentation |
Research Abstract |
時間制御バイアススパッタ法(TDBT)により結晶軸方向を制御されたturbostratic boron nitride(tBN)薄膜を合成し、ナノ構造に敏感な機械物性測定手法であるナノインデンテーション法を用いた微視的領域での機械特性の分析を行った。単層のtBN薄膜に対する微視硬度の測定においては、荷重-変位曲線に粘弾性的な挙動が生じることを見出した。具体的には、最大荷重を保持する時間に応じて変形が進行してゆき、それらは荷重の除去後、ゆるやかに回復することが確認された。これは従来のセラミックス体に対する材料力学では脱明できない特異的な挙動であるが、透過型電子顕微鏡(TEM)内での"その場"の圧縮試験においてtBNベーサルプレーンの屈曲が粘弾性の物理的起源であると推測された。 他方、sp^3、sp^2両結合の混層からなる薄膜についての機械特性の測定も行った。算出された硬度はcubic相の割合が増えるほど増加する傾向にあり、96%の高純度薄膜において50GPaに達することが示された。また、荷重除去後の永久変形量においてcBN、tBNの両薄膜で大きな違いが確認された。ほぼ純粋なcBNがダイヤモンド短針の挿入深さと対応する変形を生じているのに対し、tBNは上述の回復現象を明確に再現していた。微細構造、特にナノ領域においての機械的挙動には量子力学的効果が強く働くことが予想されるが、B-N結合の差異による機械物性の変化についての理論的説明は今後の研究課題である。工学的にはこれらの構造をMEMSにおける衝撃緩和素子への応用することが可能であるものと考えられる。
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Research Products
(2 results)