2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F03152
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柳田 英二 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KOZLOVA Irina 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 非線形 / 拡散 / 進行波 / ダイナミクス / 数理生態学 / 偏微分方程式 / パターン形成 / シミュレーション |
Research Abstract |
自然界にあらわれる各種の時間的空間的パターン生成のダイナミクスは反応拡散系を用いてモデル化されることが多い.本研究は,数理生態学に現れる反応拡散系や,時空間パターン生成のモデルとなる各種の反応拡散系に対し,数値的研究と解析的研究を組み合わせたアプローチによって,興味深い現象の背後に隠れた数理構造を明らかにすることを目的としている. 反応拡散系の研究においては,偏微分方程式の理論に基づいた解析と,数値シミュレーションによる現象の理解の両方が必要であり,その相互作用によって研究が進展する.昨年度は,解析的アプローチでは困難な各種の興味深い現象のメカニズムを理解するためには,計算機シミュレーションによる数値的研究を行った.これに基づいて,今年度は各種の反応拡散系のダイナミクスに関する理論的考察を行うことに主眼をおいた.具体的には,生態学の数理モデルである競争型ロトカ・ボルテラ方程式に対し,2次元領域における局在化したパターンの存在に関して研究を行った.これは数学的には球対称で有界な解に対応するが,1次元の場合に比べてその解析は格段に難しい.そこで,競争がきわめて強い場合の特異極限を考え,その場合に解の存在を示すことに成功した.さらに,一般の場合については解の全体構造の理論的解明は十分ではないが,数値シミュレーションによって予想の正当性について確かめた.これらの結果については,イタリアにおいて行われた数理生物学国際研究集会で発表を行った. また,競争系のダイナミクスに関する定性的な研究と並行して,実際のフィールドデータに基づくパラメータ推定を行い,ある種の数理モデルについてその妥当性を検証した.
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