2004 Fiscal Year Annual Research Report
マトリクス中に孤立した生体高分子単一分子鎖の伝導特性評価
Project/Area Number |
03F03307
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田川 精一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ACHARYA Anjali 大阪大学, 産業科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | ポリチオフェン / 電子 / 正孔 / マイクロ波吸収 / 分子内電荷移 / 共役系 / 生分解性高分子 / 低温マトリクス |
Research Abstract |
本研究では量子ビームの誘起する物理化学反応とそのダイナミクスを応用し、孤立したナノ構造体の電子伝導特性を評価する技術の開発を行った。時間分解分光法(TAS法)と時間分解マイクロ波吸収伝導度測定法(TRMC法)の複合利用による伝導特性評価法は、従来ほとんどのナノ構造体の直接観察・評価法として用いられてきた、電子・プローブ顕微鏡とその拡張技術とは完全に異なる物性(特にキャリア移動度)評価法であり、従来の手法で常に問題となってきた固体内・界面相互作用等の影響を解決する強力な手法となる。かかる見地から、本研究では凝縮相中に孤立して存在するナノ構造体の過渡状態、特にその伝導特性を反映する1〜複数電子酸化或いは還元状態を、光・放射線化学反応を応用して創り出し、高速過渡分光法と時間分解マイクロ波吸収伝導度測定法を用いた、生成過渡種の電気伝導度評価の2手法を組み合わせることにより、σ・π共役高分子及びカーボンナノチューブ・DNA複合体などの電子・正孔伝導特性の評価を行った。これら高分子・ナノ構造材料の構造体内電荷移動特性は、バルク固体内のそれに比較し10〜10^3程度高い値を示し、これら材料の電荷輸送材料としての高いポテンシャルが示された。特に様々な共役高分子材料系において、TRMC法を用いて単一分子鎖の伝導特性評価を行った場合と、それぞれのバルク移動特性を評価した場合の比較において、ポリシラン・ポリフルオレンなど特定の材料系において特に高いポテンシャルを有する可能性が示唆された。
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