2004 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性物質と天敵を利用した環境にやさしいナラ枯れの総合管理技術の開発
Project/Area Number |
03F03329
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鎌田 直人 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TURCANI Marek 金沢大学, 自然科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | ナラ枯れ / カシノナガキクイムシ / Raffaelea quercivora / ガロ酸 / 樹冠注入 / 忌避反心 / 穿孔抑止 |
Research Abstract |
H16年度には、野外でガロ酸の樹幹注入試験を行った。ミズナラが優占する金沢市内の広葉樹林に約2ヘクタールの調査地を設定した。5月に調査地内からミズナラ24本を試験木として選択した。5月18日には、予備試験として、試験木とは別に12本を選定し、濃度を4段階(0.1%、0.5%、1%、2%)に変えたガロ酸水溶液をファイザー製薬の松材線虫病用の樹冠注入ユニットを使って注入した。その結果、2%の濃度ではガロ酸が析出した。1%のガロ酸水溶液を、樹幹注入するのが好ましいことがわかった。6月2日に本試験として、12本に各4箇所ずつ1%のガロ酸水溶液を注入した。ガロ酸の移動は木の個体間でばらつきが見られた。また、1ヶ月後には樹体内の濃度は接種時に比較して薄くなり、カシナガの穿孔繁殖が認められた。また、24本のうち22本が枯死した。接種区と対照区でミズナラの死亡率に差は認められなかった。カシナガの穿孔数、坑道の長さ、カシナガ不在の坑道の割合にも,対照区と接種区で有意な差は認められなかった。今回の結果から、今後の改良点として以下のことが示唆された。ガロ酸の樹冠内の移動は予想以上に早かったため、カシナガのマスアタックが始まる直前に樹冠注入を行うのがよい。ガロ酸の樹液内の移動を抑制する手法の開発が有効である。ガロ酸の注入によって、形成層傷害や辺材部細胞の死亡を引き起こさないことを、実用化に向けて確認する必要がある。
|
Research Products
(1 results)