2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J00129
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂口 美亜子 筑波大学, 生物化学系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 分子系統 / 原生生物 / 太陽虫 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまで分類および系統上の位置が不明確であった原生生物太陽虫類の分子系統を確立することである。 まず、複数の太陽虫類の株を確立するため、野外からの採集を行った。いくつかの種に関して、サンプルからの単離・短期間での株の維持に至ったものの、長期間で株を維持することはできなかった。今後も引き続き野外からの採集を行い、株の作成を行う予定である。 分子系統解析を行うために、他生物との比較対象となる目的遺伝子の配列決定を試みた。現在持っている無菌培養での株である有中心粒目Raphydiophrys contractilisを材料として、まず目的遺伝子として一般的に用いられている18SrDNAの配列を決定するために、PCRを行って目的遺伝子を増幅させ、シーケンサを用いて配列の決定を行った。PCR産物が複数の種のバンドだった場合はクローニングを行い、Raphydiophrys contractilis由来の配列を得た。配列決定後、Phylipプログラムによる系統解析を行った。その結果、Raphydiophrys contractilisにとって系統的に特に近いと考えられる生物群を確定することはできなかった。他の目的遺伝子であるαチューブリンやβチューブリンについても同様に、現段階では太陽虫類の系統的位置を決定することはできなかった。 これまでに太陽虫類においてチューブリン遺伝子の配列はまだ未報告であり、今回初めて本研究で決定されたが、まだ系統解析にとって十分量のデータではないため、今後さらに他のいくつかの目的遺伝子の配列決定を行い、また他の複数の太陽虫類における同様の目的遺伝子の配列を決定する予定である。
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