2004 Fiscal Year Annual Research Report
高強度と低強度の運動を組み合わせた新しいレジスタンストレーニング法の開発
Project/Area Number |
03J00264
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
後藤 一成 国立大学法人筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 筋力トレーニング / 成長ホルモン / 筋断面積 / 最大筋力 |
Research Abstract |
「高強度と低強度の運動を組み合わせたレジスタンストレーニング法(Combi-type)」は,運動後に成長ホルモン(GH)の分泌増大がみられる点に特徴がある(Goto et al. 2003,2004).そこで本年度は,GHの分泌に影響する要因として「筋内の低酸素化」に焦点をあて,運動時の筋酸素化レベルとGH分泌との関係を検討した(実験1).次いで,日常的にスポーツ活動を行っている競技者を対象に,Combi-typeのトレーニング効果を検討した(実験2). 実験1では,成人男性6名を対象に、(1)低強度(約40%1RM)を用いて低速度で動作反復する試技(LL),(2)低強度を用いて通常速度で動作反復する試技(LN),(3)高強度(約80%1RM)を用いて通常速度で動作反復する試技(HN)を異なる日に行わせ,筋酸素化ヘモグロビン/ミオグロビン(Oxy-Hb/Mb)の変化および運動後における各種ホルモンの分泌動態を検討した.その結果,各セットの運動中におけるOxy-Hb/Mbの最低値には,LLとHNとの間に大きな差はみられなかった.一方、GHの分泌総量はLLが他の2試技に比較して明らかに高値を示し、運動強度とGH分泌との間には関連がみられなかった.これらの結果から、GHの分泌増大には活動筋の低酸素化レベルの程度よりはむしろ,低酸素状態に曝露される時間の長短が影響していることが示唆された.なお,高強度での運動後に低強度・高回数反復でのセットを付加するCombi-typeにおいても,同様の機序が作用しGHの分泌が刺激されているものと考えられた. 実験2では,ラグビー選手17名を対象に,10週間のトレーニング実験を実施した.また,この際,後半の4週間は被験者の半数にCombi-typeを,残りの半数に高強度のみによるトレーニングを行わせた.その結果,後半4週間における動的最大筋力および筋持久力の増加率は,いずれもCombi-typeを用いたグループが有意に高値を示した(p<0.05).これらの結果から,比較的身体活動レベルの高い者においても,Combi-typeは筋機能の改善を図る上で有用であることが明らかになった.
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