2003 Fiscal Year Annual Research Report
反芻動物の生殖機能調節中枢機序における酢酸およびグルコースの役割の解明
Project/Area Number |
03J00809
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松山 秀一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | GnRHパルスジェネレーター / 多ニューロン発火活動 / 絶食 / グルコース / 代謝気質 / インスリン / ヤギ |
Research Abstract |
生殖機能は栄養状態により影響をうける。単胃動物では血中グルコースが生殖機能制御に関与する主要な因子であると考えられている。一方、反芻動物では主要なエネルギー源は揮発性脂肪酸であることから、単胃動物と異なる神経内分泌機構により生殖機能が制御されていることが考えられる。しかし、どのような代謝基質や代謝関連ホルモンが生殖機能の制御に関与するかは明らかでない。本研究では、反芻動物においても血中グルコースが生殖機能の制御に関与する因子であることを明らかにするため、絶食期間を通じたグルコース投与が性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)パルスジェネレーター活動におよぼす影響を検討した。 シバヤギに5日間の絶食を負荷した。絶食期間中、頸静脈に留置したカニューレを通じ20%グルコース溶液を連続的に投与し、血中グルコース濃度を65-95mg/dlに維持した。GnRHパルスジェネレーター活動を多ニューロン発火活動記録法により連続的に記録するとともに、実験期間を通じて経時的に採血を行い、代謝基質およびインスリンの血中濃度を測定した。 GnRHパルスジェネレーター活動は絶食により抑制された。一方、絶食期間を通じたグルコース投与はその抑制を妨げた。絶食により非エステル化脂肪酸(NEFA)およびケトン体の血中濃度は上昇するが、それらの濃度上昇はグルコース投与により軽減された。また、絶食により血中インスリン濃度は低下するが、絶食期間中のグルコース投与は血中インスリン濃度の上昇を招いた。以上の結果から、反芻動物においてもグルコースはGnRHパルスジェネレーター活動を調節する因子の一つであることが示唆された。GnRHパルスジェネレーター活動に対するグルコースの作用は、NEFA、ケトン体、インスリンなどグルコース以外の代謝基質およびホルモンを介する可能性も考えられるが、その詳細なメカニズムは今後の検討課題である。
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