2005 Fiscal Year Annual Research Report
インターネットの利用が社会生活に与える影響-社会関係資本の観点から-
Project/Area Number |
03J00863
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
五十嵐 祐 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 社会的ネットワーク / 社会関係資本 / 携帯メール / 縦断データ |
Research Abstract |
本年度は、メルボルン大学心理学部にて社会的ネットワークの縦断的変化に関する研究を行った。具体的には、前年度に収集した大学新入生のネットワークの縦断データ(前期開始時、前期終了時、後期開始時、後期終了時の4時点で測定)を用いて、社会的ネットワークの変容過程が紐帯の強さによって異なるかどうかを明らかにするため、数理統計モデルを適用して分析を行った。ここでは、対面、携帯メールの社会的ネットワークの別に、ネットワークの縦断的変化を説明する構造的要因(相互選択、スター、トライアド(三者関係)、間接的結合)をパラメータとして設定した。行為者間の関係性を非独立であると仮定するExponential Random Graph Model(Wasserman & Pattison,1996)を用いて分析を行った結果、対面の社会的ネットワークにおいては、集団形成行動は後期開始時までに収束している可能性が示唆された。また、大学新入生は関係の初期において活発に相互選択を行うものの、長期休暇を経た後期開始時には、相互選択関係の程度は減少しており、関係の再構築が行われていることが示された。一方、携帯メールであいさつをするような弱い紐帯の社会的ネットワークにおいては、相互選択傾向は時期を通じて一定であり、集団の形成は後期開始時に活発化する傾向が示された。以上のことから、紐帯の強さによって社会的ネットワークの変容過程が異なることが明らかとなった。これらの研究成果は、国際会議にて発表(Society for Personality and Social Psychology)、および発表予定(International Network for Social Network Analysis)である。
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