2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J00996
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
倉橋 正恵 早稲田大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 歌舞伎上演史 / 芸能史 / データーベース / 江戸文化史 / 出版史 / 芸能記録 |
Research Abstract |
本年度は主に早稲田大学演劇博物館に所蔵されている演劇関係資料の調査を行った。調査対象とした資料は、下記のようである。 (1)『花江都歌舞妓年代記続編』や『外題年鑑』といった近世後期の歌舞伎上演年表類。 (2)文化(1804)から幕末期(1868)までの江戸役者の格付けを記した給金付。 (3)近世後期歌舞伎界をリードしていた役者の一人である七代目市川団十郎関係資料。 これら資料の性質や内容をそれぞれに検討した結果、(1)上演年表類と(2)給金付については、各資料の内容をデータベース化することが報告者自身の研究のみならず、今後の演劇・文化史研究を発展させるためにも最重要課題であるとの結論に達した。とりわけ(1)上演年表類については、演劇研究の根幹を形成する資料と成りうるため、内容はもちろんデータベースの形態にも慎重な検討を重ねる必要があった。なお、本研究によって確立した上演年表のデータベースの作成方法とその問題点については、近世後期上方歌舞伎上演年表である『許多脚色帖』のデータベース化についての口頭発表(3月19日、於早稲田大学)において明らかにする予定である。(2)給金付についでは大まかな入力はほぼ完了しており、研究成果の公開方法を検討している状態である。(3)七代目市川団十郎関係資料については、(1)(2)の研究成果をふまえながら役者とその周辺にいる贔屓や文化人達との交流を追った。その結果、歌舞伎役者を中心とする絵画・文芸・出版を包括する江戸文化の成立過程を把握することができた。
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