2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J01015
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
真辺 将之 早稲田大学, 文学部, 特別研究員(PD) (80546721)
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Keywords | 反欧化主義 / 明治国家形成 / 西村茂樹 / 依田学海 / 鳥尾小弥太 |
Research Abstract |
本年度は、反欧化主義的な人物の中でも、元田永孚・佐々木高行といった宮中グループや、ジャーナリズムを拠点にその主張を展開した陸羯南・三宅雪嶺らのグループ関する研究を行った。ただし、これらグループに関しては、すでに先行研究もいくつか存在しているため、かならずしも個別に学術論文としてまとめることを意図せず、あくまで、反欧化主義の総合的把握という目的のもとに、史料や研究文献を読み込み、それぞれの人物,グループの思想的特質を把握する作業を行った。この作業によって、明治期反欧化主義を構造的に把握する上での大きな成果を得ることができた。 また、史料調査としては、国立国会図書館憲政資料室・古典籍資料室所蔵の諸資料、ならびに早稲田大学図書館や大阪府立図書館所蔵の諸新聞・雑誌類、および早稲田大学文学部で保管されている深谷博治旧蔵文書の調査を行い、特に深谷文書の整理と調査にあたっては研究補助者の強力を得た。また大阪府立中央図書館に出張を行い、新聞『関西日報』をはじめとする大阪紙の紙面を調査して鳥尾小弥太の大阪における活動に関する史料を収集し、また高知県立図書館・高知市立図書館において、谷干城関係史料の調査・収集作業を行った。 また、以上の史料読み込みの結果、単に思想史的な視野からでなく、より幅広い社会史的な視野から、旧思想と新思想との接続・反発の問題を考える必要を感じたため、それを、特に西村茂樹・依田学海とその周辺の人物の明治期における「藩士」意識を焦点に、論文「明治期「旧藩士」の意識と社会的結合-旧下総佐倉藩士を中心に-」としてまとめ、『史学雑誌』に発表することができた。この他、昨年以来の研究の成果として、西村茂樹の道徳論の形成過程、ならびに西村茂樹の明治前期教育政策上の位置づけに関する論文を作成し、現在学術雑誌に投稿中である。
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