2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアミン生合成酵素遺伝子の改変による低温耐性及び果実日持ち性の付与
Project/Area Number |
03J01388
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Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
北柴 大泰 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 果実研究所・生理機能部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ポリアミン / スペルミン合成酵素 / リンゴ / ストレス / 日持ち性 / ポリアミン酸化酵素(PAO) / 低温誘導性プロモーター |
Research Abstract |
本研究はポリアミン生合成酵素遺伝子の制御により、低温耐性や日持ち性を植物に付与し、持続的果樹栽培を可能とする新技術の開発を目的としている。本年度はスペルミン合成酵素遺伝子の低温下における制御を目指すため、低温下における各々の遺伝子の応答性を調査するとともに、低温下誘導性プロモーターの解析を行った。 前年度までの解析により明らかになった2種類のスペルミン合成酵素遺伝子(MdACL5およびMdSPMS)の低温処理(4℃)下での経時的な発現を調査した。その結果、両遺伝子の発現は通常生育下と比較して低温により抑制されることが分かった。さらに高温(35℃)や塩(300mM)ストレスについても調査した結果、いずれにおいても両遺伝子の発現は抑制された。このことは両遺伝子が成長・増殖との関わりが深く、ストレスによって生育が阻害された結果発現が抑制されたのではないか、逆に、低温含めストレス遭遇時に植物体にスペルミンを何らかの形で蓄積させることが出来れば、被害の軽減が計れると考えられた。 一方、すでに解析済みの低温誘導性遺伝子を基に、そのプロモーター解析についても行った。その推定プロモーター領域にレポーター遺伝子GFPと連結したベクターを構築し、タバコに導入し形質転換体を得た。その結果、GFP遺伝子の低温(4℃、3時間処理)発現誘導性が転写レベルで確認された。しかしながら、実体顕微鏡下でのGFP蛍光が、観察されなかった。その原因としてプロモーター活性が弱いことが考えられ、今後の検討課題となった。 他に、ポリアミンの代謝系の把握のため、スペルミジンとスペルミンの分解に関わるポリアミン酸化酵素遺伝子(PAO)の単離、発現解析を行った。しかしながら、リンゴにおける役割を推定するには至っていない。今後、酵素活性と生育との関係、ポリアミン蓄積量との関係を調査する必要がある。
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Research Products
(2 results)