2003 Fiscal Year Annual Research Report
イスラーム世界における奴隷エリートの研究-マイノリティー・ネットワークの視座から
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03J01446
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
前田 弘毅 財団法人東洋文庫, 研究部・特別研究員(P・D・) (90374701)
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Keywords | イスラーム世界 / 奴隷エリート / マイノリティー / サファヴィー朝 / イラン / コーカサス / ネットワーク社会 / ナショナリズム |
Research Abstract |
本年度の研究実績の概容は、次のとおりである。 イスラーム世界の奴隷エリートに関する研究を進める中で、特にキリスト教社会出身であるコーカサス出身奴隷について考察を進めた。とりわけ、グルジア出身有力4家系の出自についてまとめ、欧文で"On the Ethno-Social Background of Four Gholam Families from Georgia in Safavid Iran",Studia Iranica,32,Paris,2003,pp.243-278を発表した。また、資料調査もかねてドイツを訪問し、バンベルグ大学で学会発表"Shah's slave or Georgian noble? Unkonwn history of the Georgian gholams",The 4th International Round-Table on Safavid Studies, University of Bamberg, (Bamberg, Germany)を行った。100名を越える研究者が参加したこの学会では、欧米とイランの多くの研究者と意見交換をする機会に恵まれた。9月にはグルジアを訪れ、現地調査も行った。その成果を踏まえて、10月には「奴隷軍の諸相:サファヴィー朝の場合」の題目で日本オリエント学会第45回年次大会(金沢大学)で研究報告を行った。現在、成果を原稿にまとめて投稿を準備している。この他、奴隷軍人と郷里との関係について研究をすすめ、そのアイデンティティーの問題をグルジア史と併せて論じた「グルジア・ナショナリズムの源流:17世紀叙事詩『テイムラズとルスタヴェリの対話』の意味すること」帯谷知可・林忠行編『スラブ・ユーラシア世界における国家とエスニシティII』JCAS Occasional Paper no.20、2003年11月、国立民族学博物館、pp.37-44を発表した。前近代と現代、歴史と文学、キリスト世界とイスラーム世界といった大きな問題について、今後につながる研究成果を提出できたと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 前田弘毅: "グルジア・ナショナリズムの源流:17世紀叙事詩 『テイムラズとルスタヴェリの対話』の意味すること"スラブ・ユーラシア世界における国家とエスニシティ. II. 37-44 (2003)
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[Publications] Hirotake MAEDA: "On the Ethno-Social Background of Four Gholam Families from Georgia in Safavid Iran"Studia Iranica. 32. 243-278 (2003)