2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物の感染防御応答におけるMAPキナーゼ情報伝達系の機能解析
Project/Area Number |
03J01960
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
加藤 新平 独立行政法人農業生物資源研究所, 生理機能研究グループ, 特別研究員(PD)
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Keywords | 耐病性 / 情報伝達 / リン酸化 / MAPキナーゼ / カルシウム / カルモジュリン |
Research Abstract |
カルモジュリン(CaM)は真核生物に普遍的なCa^<2+>結合タンパク質であり、Ca^<2+>依存的・非依存的に標的タンパク質に結合しその活性を調節する。我々は新規なCaM結合タンパク質としてMitogen-activated protein kinase(MAPK)脱リン酸化酵素(NtMKP1)を同定した。MAPKはMAPKカスケードと呼ばれる情報伝達経路を構成し、細胞外の刺激を細胞内の応答へと伝達する真核生物に普遍的かつ重要な情報伝達因子である。NtMKP1の活性におよぼすCaMの影響を調べるため、小麦胚芽抽出液を用いたin vitro transcription/translationによりNtMKP1の組み換えタンパク質を作製した。タバコのストレス応答性MAPKであるSIPKの組み換えタンパク質を恒常的活性型MAPKKによりリン酸化し、NtMKP1の基質として用いたところ、SIPKの活性はNtMKP1と反応させることにより顕著に減少した。また、リン酸化されたMAPKに特異的な抗体を用いた解析より、NtMKP1がSIPKを脱リン酸化することが明らかになり、NtMKP1はSIPKを脱リン酸化し不活性化すると考えられた。次に、CaMの結合がNtMKP1の活性におよぼす影響を調べたところ、顕著な影響は認められなかった。欠失解析より、NtMKP1の活性にN末端部位は必須であるが、CaM結合部位およびC末端部位は必須でないことが明らかになった。また、NtMKP1のN末端側114アミノ酸にSIPKが結合することが明らかになった。また、一過的発現系を用いた解析より、in vivoにおけるNtMKP1の機能にもNtMKP1のN末端114アミノ酸が必須であり、CaMの結合は必須でないことが明らかになった。
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