2004 Fiscal Year Annual Research Report
南アフリカにおける植民都市の計画理念とその空間構成に関する研究
Project/Area Number |
03J02498
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
佐藤 圭一 滋賀県立大学, 人間文化学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 南アフリカ / アパルトヘイト / 植民都市 / 都市計画 / アフリカーナー / ボーア人 / 人種隔離 / 集団地域法 |
Research Abstract |
本年度は、本研究で焦点をあてている南アフリカ内陸の植民都市の変容過程を明らかにするために、主に南アフリカにおける人種隔離制度について調査・分析を行った。南アフリカ内陸の植民都市の多くは、1835年にアフリカーナー(ボーア人)が英国支配から逃れるための内陸大移動(グレート・トレック)に伴って建設された村落(ドープ)が基となっている。前年度は、これらの都市の形成過程および計画寸法体系を明らかにしたが、今年度はその後の変容過程に焦点をあてた。その際の視点となるのが南アフリカの特殊事情である人種隔離政策である。人種隔離制度の端緒となるのは、都市域からアフリカ人を隔離するために制定された1913年の原住民土地法である。しかし、より深刻な人種隔離は都市域においてなされた。内陸植民都市の居住空間が変容しはじめるのは、1923年の原住民(都市地域)法が制定され都市域での人種隔離が明文化されて以降であることを古地図の分析によって明らかにした。その後、1950年に人口登録法と集団地域法が制定され、隔離政策は統合的なアパルトヘイトへと深化するのであるが、その過程で南アフリカ内陸の植民都市は、人種ごとに明確に隔離された居住空間へ再編され、制度的にはアパルトヘイト体制崩壊まで続き、現在でもその枠組みが残っていることも明らかにした。 来年度は、引き続き居住空間の実態を解明するとともに、計画理念と空間構成の関係について考察したい。
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