2003 Fiscal Year Annual Research Report
サポートの互恵性と精神的健康との関連に対する個人内及び個人間発達の影響
Project/Area Number |
03J02519
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
谷口 弘一 岡山大学, 教育学部, 特別研究員(PD) (20411051)
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Keywords | ソーシャルサポート / 互恵性 / ストレス反応 / 個人内発達 / 利得不足志向性 / 利得過剰志向性 / 共同志向性 |
Research Abstract |
本年度の研究では、サポートの互恵性と精神的健康との関連に対する個人内発達の影響プロセスを検討した。個人内発達がサポートの互恵性と精神的健康との関連に影響を与える要因として、年齢の増加に伴い、(1)友人関係における互恵性の規範が変化すること、(2)友人関係の付き合い方が、数人のグループでの気軽な友だちづきあいから一人の友だちとの深いつきあいへと変化すること、などが考えられる。 (1)については、サポートの互恵性と精神的健康との関連に対して調整効果を持つ交換志向性並びに共同志向性に焦点を当てた。交換志向性については、Sprecher(1992)の指摘に基づいて、利得不足志向性と利得過剰志向性の2つを取り上げた。分析の結果は以下の通りであった。 1,利得不足志向性 学校×性別の2要因分散分析を行った結果、学校の主効果が有意であった。ただし、下位検定の結果では有意差が認められなかった。一般的に、学校が上がるにつれて、利得不足志向性得点が高くなる傾向が認められた。 2,利得過剰志向性 学校×性別の2要因分散分析を行った結果、学校と性別の主効果及び交互作用が有意であった。下位検定の結果、女子の方が男子より得点が高く、小学生の得点が中学生の得点よりも高かった。 3,共同志向性 学校×性別の2要因分散分析を行った結果、学校と性別の主効果が有意であった。下位検定の結果、女子の方が男子より得点が高く、高校生の得点が中学生の得点よりも高かった。 (2)については、複数のグループの友人とつきあうことが多い小学生では、一人の友人と深くつきあうことが多い高校生と比べて、特定の友人関係の互恵性ではなく、友人関係全体の互恵性がストレス反応と有意な関連を持つことが予測される。そこで、小・中・高校生を対象にして、3人の友人を挙げてもらい、それぞれの友人とのサポート授受について調査を行った。調査結果は、現在、分析中である。
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Research Products
(1 results)