2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J02884
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
林 思敏 東京外国語大学, 大学院・地域文化研究科, 特別研究員DC2
|
Keywords | 南進 / 台湾総督府 / 台湾拓殖株式会社 / 台湾 / 南洋 |
Research Abstract |
1930年代中期に入ると、南進が国策として確立されたことによって、台湾は南進の基地として再び登場した。そうしたなか、南進政策の推進においては、主役である台湾総督府のもとに、「国策会社」台湾拓殖株式会社の役割も極めて重要である。本研究では、これまでの研究文献を踏まえながら、「台湾拓殖株式会社文書」(国史館台湾文献館所蔵)を中心とした第一次史料を使用し、南進における台湾拓殖の役割の解明に取り組むことにする。 台湾拓殖の設立をめぐっては、台湾総督府熱帯産業調査会が開かれ、設置形態、事業内容など経営方針に関わって、大いに議論がかわされたことから、台湾総督府と外務省の間には意見が不一致していることを示している。本研究では台湾拓殖に対する台湾総督府の取り組みだけでなく、外務省をはじめとする中央政府の関与からも、台湾拓殖が期待される。 また、台湾拓殖の事業については、台湾拓殖の事業概観や「台湾拓殖株式会社文書」から島内事業と島外事業が大別されることができる。とりわけ、島外事業のの内容、資本金、事業所の所在地などの考察を通し、南進においては台湾拓殖は重要な役割を果たしている。 1936年8月5日五相会議が開かれたことによって、南進は日本政府の高層に「国策」として位置づけられた。同年11月25日に台湾拓殖株式会社は台湾総督府の手によって作られた。設置段階においては、台湾拓殖株式会社に対する外務省の関与は確かに存在したが、その時点では本研究の結果から南進の「国策」と「国策会社」としての台湾拓殖株式会社の両者の間には明確な関連性があったとは言いがたい。ただ、南進の政策の本格的な開始の前には、「植民地政府」でありながら、台湾総督府は「独自」で南進の準備を先取りして進めていったことがわかる。 以上の研究成果が「国策会社台湾拓殖株式会社から見た台湾総督府の南進政策」(未発表)という小論文としてまとめられた。
|
Research Products
(2 results)